2008 Fiscal Year Annual Research Report
高速移動環境におけるブロードバンド移動通信方式に関する研究
Project/Area Number |
20560355
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田野 哲 Kyoto University, 情報学研究科, 准教授 (80378835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 大祐 京都大学, 情報学研究科, 助教 (50314258)
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Keywords | 無線 / 移動 / フェージング / 等化 / 誤り制御 / 伝送路推定 |
Research Abstract |
移動通信環境で高速通信を可能とする技術に、高速フーリエ変換を利用したブロック伝送方式がある。例えば、OFDMやシングルキャリアにおけるFFT等化器がその一例である。このブロック伝送方式は高速フェージング伝送路において著しく特性が劣化する。例えば、HSDPAでは携帯端末が高速に移動し始めると伝送品質が劣化し、結果として通信速度が大幅に低下するという問題がある。そこでシングルキャリア伝送方式において、この劣化を補償する技術として、並列FFT等化方式を提案した。並列FFT等化方式ではFFT等化器を複数用意し、これら等化器を各々異なった時刻に最適化する。高速フェージング伝送路では伝送路環境が次々刻々変化するため、各々の等化器出力の信号の特性も各々異なる。そこで、これら複数のFFT等化器の出力を選択合成することで、より高品質な通信を実現する。加えて、並列FFT等化器に誤り制御技術を組み合わせ、劣化を引き起こす信号成分を除去する手法をも提案した。さらには、並列FFT等化器に適した伝送路環境推定として、高速変動時にも高精度に行えるブロック分割最小自乗推定法を提案した。提案した並列FFT等化器の特性を高速セルラー移動通信環境において計算機シミュレーションにより評価した。従来の適応等化器ではビット誤り率を約10^<-2>以下に低減できないような高速フェージングチャネルにおいて、本提案法ならばビット誤り率を10^<-5>以下に低減できることが明らかとなった。本研究成果は、高速移動する車や新幹線、あるいはリニアモーターカーへの高速通信の可能性を拓いた。また、本提案法はMiMAXで用いられているOFDMにも拡張が可能である。従って、本研究成果はこれらのシステムにおける高速移動体への通信を可能にする道筋を拓いたといえる。
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