2008 Fiscal Year Annual Research Report
リスクコミュニケーションによる実践的地域防災教育システムの開発
Project/Area Number |
20560492
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
柿本 竜治 Kumamoto University, 政策創造研究教育センター, 准教授 (00253716)
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Keywords | リスクコミュニケーション / ハザードマップ / リスクマネジメント / 地域防災計画 / 避難訓練 / 避難行動 / ソーシャルキャピタル / 地域防災力 |
Research Abstract |
従来の災害リスク管理は,ハード対策を中心とした行政の公助に多くを依存してきた.しかし,想定した計画規模を超える外力変動は常に存在するため,ハード対策のみで災害リスク管理を行うのは非常に危険である.また少子高齢化により地域防災力が減退している.そこで,行政と住民が協調しながら地域防災力の向上と被害最小化を目指す減災対策において災害リスクマネジメントの適用が注目されている.本研究では,PDCAサイクルに基づいた災害リスクマネジメントの実践手法を提案した.ケーススタディとして熊本市壺川校区と山都町菅地区で実践し,当該地区の災害の履歴や地域特性,地形条件などの情報収集や地域のニーズを把握した.また,山都町菅地区においてコミュニティバスを活用したの避難訓練を実施し,避難速度の最小値は15m/分,自主避難決定から避難完了までに約80分要したことなど,地域防災計画に有益な情報が得られた. 本研究では,熊本市の中心市街地である慶徳・城東地区,内水害頻発地区である壷川地区,中山間地域にある山都町菅地区を対象にソーシャルキャピタルが水害に対する「自助・共助意識」の高さに及ぼす影響についてのアンケート調査も行った,その結果,「自助・共助意識」に対して「活動による紐帯」が及ぼす影響はほとんど見られないが,「地縁による紐帯」が及ぼす影響は小さいながら明確に見られた.このことから,中心市街地で希薄になっている近隣の人間関係を強めるような政策を実施することにより,自助・共助意識を向上させるとともに地域の防災力を高めさせる可能性が示唆される.
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