2011 Fiscal Year Annual Research Report
重層的リスク・コミュニケーションを基盤とする防災まちづくり
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20560560
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
増田 聡 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30231591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 良之 山形大学, 大学院・教育実践研究科, 教授 (10210072)
佐藤 健 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90290692)
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Keywords | リスク・コミュニケーション / 防災都市計画 / 地域防災計画 / ハザード情報 / 土地利用規制 / ニュージーランド / 東日本大震災 |
Research Abstract |
2011年の3.11東日本大震災の発生をうけて、研究実施計画・方法を一部修正し下記の研究を進めた。 研究目的(1)「地域コミュニティにおけるリスク・コミュニケーションと行動変容」 1)地域防災力評価システムweb GISの利用実態調査と改良(宮城県内対象):既存の地域防災力評価システムについて津波災害に関するハザード情報の取扱い等の修正追加すべき課題を整理し、県地域防災計画の改定を待って、再設計に取り組む方針を定めた。 2)地域コミュニティ(住民組織)の防災力高度化モデル::仙台市消防局と3.11東日本大震災に対する町内会(自主防災組織)の対応実態調査を共同実施し、組織類型化と防災力水準の概念モデルを高度化するための基礎データを追加収集した。 3)地域コミュニティによる外部資源や情報の獲得・活用実態調査:「行政との協働、研究者の関与、NPO団体との連携等」の活動実態の把握と事例収集を行った。成果の一部は「第7回災害に強いコミュニティのための市民フォーラム(2012.2.28、フォレスト仙台)」で紹介した。 研究目的(2)「自治体内リスク・コミュニケーションを核とする防災都市計画」 4)自治体レベルでの地震ハザード情報の受発信・利活用状況の把握 5)ハザード情報の公開と土地利用変化の関連性分析:国内自治体の事例発掘、政策・計画文書の収集DB化を継続するとともに、3.11大震災(その後の津波リスク再評価)を踏まえた調査方針を再構築した。 6)Wellington市等における活断層ゾーンの線引き見直しの事例調査、指針の普及実態調査 7)地震ハザード情報と計画制度に関する計画専門職への意識調査:クライストチャーチ地震(2010.9.4)における復興情報を集めるとともに、活断層指針及び斜面災害指針の普及状況のモニタリングを継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時目的は順調に達成してきたが、想定を超える大震災が2011年度末に発生し、コミュニケートすべきリスク内容自体の見直しが必要となったため、新たに追加すべき地域事例(自治体)や防災力評価項目の拡充が必要となっている。この部分を今後充実させ、達成度を上げる。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の発生は、地震・津波災害に対する人々の意識を大きく変化させ、コミュニケートすべきリスク内容を大きく変えてしまった。特に「地震・津波ハザードの想定、リクス水準の設定・シミュレーション」等に関して全国規模の再検討が現在進行中であり、加えて、復興計画の中核として事業化が進みつつある高台移転や現地再建では、津波リスクに対応した災害危険区域の指定や住民合意の形成などが現実の政策課題として浮上している。そこで、これらの課題を含めた「重層的リスク・コミュニケーション」のあり方を検証するため、3.11大震災の被災状況や復興過程に即した研究計画の修正を進めるとともに、対象地域・事例の追加・再検討の方向性を定めた。
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Research Products
(18 results)