2010 Fiscal Year Annual Research Report
緊急時の避難意思決定に至る心理的過程に影響を及ぼす環境要因
Project/Area Number |
20560566
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大野 隆造 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20160591)
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Keywords | 避難 / 意思決定 / 心理過程 / 環境要因 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、わが研究室で開発した、没入型ポータブルVRシステムを用いて、火災発生時の異変察知から確認行動、さらに避難意思決定に至るまでの行動に関する実験をコンピュータ・シミュレーション(CG)空間で行った。実験の操作変数としては、与える情報の種類(室外のざわめき、非常ベル、発報放送、合成音声による火災放送、肉声による火災放送)及び部屋の視聴覚的特徴(部屋と廊下の開放性、吹き抜け空間の有無等)とし、これらの組み合わせで、異なるシナリオによる実験を行った。これにより、火災時において、情報の与え方および建築の空間構成がどのように居室者の初期確認行動および避難意思決定の時期に影響するかを実験的に吟味し、以下のことがわかった。 <情報の与え方による影響に関して> 1)合成音声による火災放送は、単独で避難意思決定を促すには十分でなく、それに先立って非常ベルと発報放送という事前情報があることによって、意思決定が促進される傾向がある。2)非常ベルの継続時間を長くし、火災放送を繰り返す事により、避難意思決定および確認行動を早める一定の効果がある。 <建築の空間構成による影響に関して> 3)廊下に面して吹き抜けのある空間では、上下階の様子が階段室に行かなくても廊下に居ながらにして確認できるため、確認行動を長く行う傾向がある。4)密室型の部屋、すなわち廊下側に窓のない居室や遮音性の高い居室では、部屋外からの情報が得にくくなり、避難行動が遅れる傾向がある。
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Research Products
(1 results)