2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児療養環境における不安軽減を目指した環境デザインに関する研究
Project/Area Number |
20560579
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 賢一 名古屋市立大学, 大学院・芸術工学研究科, 教授 (00242842)
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Keywords | 子どもの療養環境 / 病院建築 / 小児病棟 |
Research Abstract |
本研究は、病院における小児患者と家族の不安緩和を目指した療養環境デザインに関する研究である。 本年度は、患者や家族の不安解消のための病院環境整備に関わる実態を明らかにし、その問題点を整理すると同時に、環境整備の指針を得ることを目的とした。小児の療養環境整備におい先進的な試みを実践している病院を訪問調査し、環境整備の手法、環境整備の主体、整備の時期や予算、維持管理に関する方法などのデータを収集した。 病院の環境整備体制には、大きく分けて1)病院内部に環境整備のための組織を構築し、病院運営の一環として環境整備に取り組むケース、2)病院外部の地域あるいは支援団体のサポートにより環境整備に取り組むケース、3)デザイン系、芸術系の大学の力を利用して環境整備を行う3つのタイプがあることがわかった。 多くの病院では、病院として患者の不安解消を目的とする環境整備に取組む姿勢はあるものの、それらを推進する組織や予算が不十分である。そのために、外部の市民団体や教育機関の力を得ることにより、基盤となる環境整備を実施しせざるを得ない状況である。外部の力を借りる場合においては、病院サイドにそれらを受け入れる窓口機能、病院の医療方針を適切に伝達する情報交換の場が設定されることにより、効果的な不安解消につながっている。また、そうした環境整備が患者の視点だけではなく、医療スタッフにとっても働きやすい職場環境の改善につながっていることがわかる。
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