2010 Fiscal Year Annual Research Report
高層建築物における災害弱者の自助、共助、公助を含んだ実効性のある全館避難の検討
Project/Area Number |
20560593
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (70305556)
|
Keywords | 防災計画 / 火災工学 / 火災・事故 / 社会の防災力(避難) / 障害者福祉 / 高齢者福祉 / 児童福祉 / 都市・地域計画 |
Research Abstract |
本研究では自力で避難する自助、建物内やコミュニティにいる人が介助して避難する共助、消防・救急等の救助による公助の対策を、状況に応じて選択して避難・救助する方法の検討を行った。災害弱者が避難時に特に問題を生じる垂直移動に着目した。本研究では、高層建築物での実効性のある避難計画を検討することを目的とし、特に群集に災害弱者が混在した場合の自力避難、介助避難、救助方法を検討した。具体的には今年度の研究および最終年度として、以下の検討ととりまとめを行った。 1)高層建築物の避難計画および防災訓練実態調査:25階建ての事務所用途の高層建築物について、2008、2010年に実施された避難訓練をにおいて、階段室内踊り場、階段部、階段室外に20台のビデオカメラを設置し流動状態を把握した。また、2010年には、避難用車いすが導入された状況での避難訓練調査を行った。 2)建物利用者に対する自助、共助、公助についての質問紙調査:大学授業において、質問し調査を実施し他結果を整理しなおし、一般的な避難行動特性を明らかにした。 3)災害弱者の一時待機避難場所としての付室スペースの検討実験:大規模実験空間にて付室をし再現し、群集避難実験を行った結果をまとめた。 4)災害弱者を含んだ群集流動シミュレーションの開発と妥当性の検討:筆者らが開発した歩行者シミュレーションSimTreadを持ちて、全館避難における全館避難状況を再現した。また、1)と比較し、妥当であることを示した。 5)災害弱者を含んだ実効性のある避難計画の検討:全館一斉避難では、避難用車いすの導入が避難に大きな影響を及ぼさない事を明らかにした。 6)1)、4)の内容は、2011年度日本建築学会大会にて、「高層建築物における避難用車いすの混在が他の避難者の歩行速度に与える影響」として投稿し、発表予定である。
|