2010 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市に拠点を置いた建築家の活動と評価に関する研究-愛知県での事例研究
Project/Area Number |
20560601
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西澤 泰彦 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (80242915)
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Keywords | 近代建築 / 地方都市 / 愛知県 / 建築家 / 建築学会 |
Research Abstract |
平成22年度は、愛知県在住建築家・建築技術者リスト作成のための補足調査と愛知県在住建築家活動概要作成のための文献調査を並行しておこなった。その結果、次のことが判明した。 1点目は、リストアップされた人物の所属である。1910年代まで、目立つのは、愛知県や名古屋市といった地方庁所属の者、官立学校である名古屋高等工業学校はじめとした学校に所属する者、名古屋逓信局、名古屋鉄道局、陸軍第三師団経理部といった国の出先機関に所属する者である。しかし、1920年代から民間の建築会社や建築事務所所属の者が増えてきた。 2点目は、建築学会員総数に占める愛知県在住者の比率の上昇である。1906年までは、2%前後で推移し、1907年に3%を超え、1929年には4%を超え、1931年以降は5~6%で推移している。この比率の上昇は、建築分野での日本全体に対する愛知県の比重が高まったことを意味している。 3点目は、正員と准員との比率である。愛知県では1906年にはじめて正員が存在するようになったが、それ以後1916年まで、愛知県在住の正員は最大でも6名であり、准員数も12~61名で推移している。1920年に正員数が20名となり、大幅に増加した結果、准員数の約4割を占めるに至った。その後も、正員数は准員数の4分の1から3分の1程度を占めるようになる。正員数の増加は、主体的に活動する建築家の増加を意味しており、これは、1点目で指摘した民間の建築組織の増加と一致する。 4点目は、愛知県在住建築家活動概要について、特に次の4組織と5人の建築家に関する活動が重要であることが判明した。 愛知県の建築組織、名古屋市の建築組織、国の出先機関、清水組名古屋支店 鈴木禎次、松本善一郎、村瀬国之助、大中肇、中村與資平 次年度はこの成果を踏まえて個別事例情報の収集と評価を進める。
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Research Products
(3 results)