2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゴシック建築成立に関わる教会堂コーパスに含まれる全支柱の詳細なカタログの作成
Project/Area Number |
20560608
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 達生 大同大学, 工学部, 教授 (40131148)
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Keywords | ゴシック / 身廊壁 / 線条化 / 複合柱 / 円柱 / 支柱転換 / イール・ド・フランス / 実測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「ゴシック建築の身廊壁面の線条化は、大アーケードの支柱が複合柱から円柱系支柱に転換されることによって進行した」とする仮説を証明するために、これに直接関わるコーパス(根拠となる遺構の総体)137棟すべての支柱(ヴォールトシャフトを含む)形態について、その詳細なカタログを作成することにある。作業の中心をなすのは、シャフトを含めた支柱の実測とその図化である。平成22年度は7月24日~8月1日までの9日間と、9月13日~9月27日の15日間の2度にわたり現地調査を実施した。7月の調査ではノルマンディー地方の教会堂10棟とパリ周辺部の教会堂2棟について、また9月の調査ではパリ周辺部の教会堂22棟について支柱形状の実測、目視観察、写真撮影をおこなった。この調査により、コーパスに含まれるすべての支柱形状の実測が完了した(本研究開始前に終了していた実測も含めて)。図化については、本年度は29棟分の図化をおこない、これによりコーパスに含まれる全て複合柱の図化が完了した。円柱系支柱については4割(30棟)が未了である。年譜の作成についてはほぼ完了した。本年度中に、円柱系支柱の図化を完了させ、支柱カタログ(支柱詳細断面図・全体写真・年譜・解説を含む)が作成できる見通しである。図化およびカタログは未完成であるが、本研究を通じて仮説証明のための根拠は、十分に収集しえた。コーパスの確定と実測調査に基づき仮説を実証しえた点は、その実質的成果だけにとどまらず、建築史学・美術史学の分野に新たな研究方法の可能性を提供するものと思われる。なお、成果の一部は「12世紀イール・ド・フランス複合柱の独自性と革新性」と題して日本建築学会計画系論文集に投稿済みである。
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Research Products
(2 results)