2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560624
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鵜沼 英郎 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 教授 (30273303)
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Keywords | メンブレン / 酵素 / 水酸アパタイト / コラーゲン / ドラッグデリバリー / 骨誘導再生法 |
Research Abstract |
1.ドラッグデリバリー用担体の候補材料として,直径50ミクロン程度の中空水酸アパタイト粒子の合成条件を確立し,その薬剤除放特性を調べた.中空粒子を作製するには,ウレアーゼを内包させたポリジビニルベンゼン(PDVB)粒子をまず合成し、次いでこれを硝酸カルシウム10m mol/L,リン酸2水素アンモニウム6m mol/L,尿素10m mol/Lを含む水溶液に入れて48時間保持した.その間、尿素がPDVB粒子内に拡散し,ウレアーゼによってアンモニアに加水分解され,アンモニアが粒子表面に拡散すると同時に表面で水酸アパタイトを沈殿させる.その後粒子を600℃以上で焼成することでPDVBが燃焼除去され、中空水酸アパタイト粒子となった.中空水酸アパタイト粒子にイブプロフェンを含浸し,生理食塩水中で除放特性を調べたところ,4時間経過後からゆっくりとイブプロフェンが放出された.この結果,この材料がドラッグデリバリー用担体として有望であることがわかった. 2.PET樹脂/コラーゲン/水酸アパタイトの3層構造からなる材料を合成し,骨誘導再生法のメンブレンとしての性能評価を動物実験で行った.合成の際には,PET樹脂にコラーゲンを有機化学的に被覆した後に,コラーゲンにウレアーゼを固定化し、上と同様にして水酸アパタイトを析出させた.次に,ラットの頭蓋骨に直径5mmの欠損を形成し、PET樹脂のみ,PET/コラーゲン,PET/コラーゲン/水酸アパタイトの3種類のシートで欠損を覆って1週間後に組織を観察したところ,後2者で新生骨の形成が確認された.特に水酸アパタイトを被覆しておくと、新生骨形成の促進が顕著だった.さらに,水酸アパタイトを被覆したシートは,摘出手術の際に周辺組織と不要な癒着を起こすことなく摘出することができた.この結果を踏まえ,本材料は骨誘導再生のメンブレンとして有望であると考え特許出願および薬事申請に向けた準備に着手した.
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Research Products
(8 results)