2009 Fiscal Year Annual Research Report
リラクサー型強誘電体固溶体単結晶の育成およびマルチドメイン観察とその制御法の開発
Project/Area Number |
20560633
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 一彦 岐阜工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (40249793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 直彦 岐阜大学, 工学部, 教授 (90021625)
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Keywords | 強誘電体 / 圧電体 / マルチドメイン / 固溶体 / リラクサー |
Research Abstract |
本研究では、MPB(Morphotoropic Phase boundary)近傍でのリラクサー型強誘電体固溶体単結晶のドメイン構造が、その材料の圧電特性にどのように関係しているかを詳細に調べることを主な目的としている。また、近年特に地球環境問題から電子デバイス材料に有害な鉛などを用いない強誘電体固溶体材料の開発が重要視され、その中でも、特に優れた特性を示すと考えられるリラクサー系のビスマス化合物(Na_<1/2>Bi_<1/2>)TiO_3や(Na_<1/2>Bi_<1/2>)TiO_3-BaTiO_3系固溶体などの単結晶の育成およびその特性の評価を行うことを目指したものである。 結晶育成は、従来のフラックス法では(Na_<1/2>Bi_<1/2>)TiO_3-BaTiO_3系固溶体の組成制御が難しくよい単結晶が得られないため、ブリッジマン法により単結晶育成を試みた。組成制御に関しては、DTA-TGA法で詳しく熱解析を行って、そのデータに基づき、(Na_<1/2>Bi_<1/2>)TiO_3-5mole%BaTiO_3系固溶体単結晶をブリッジマン法により育成した。得られた(Na_<1/2>Bi_<1/2>)TiO_3-5mole%BaTiO_3結晶は、直系15mm長さ20mmで、光学的には薄く黄色っぽい様相の透明感のある結晶であった。得られた結晶はICP分析を行って、BT含有量を5%と測定した後、X線回折法により結晶構造を確認し、結晶方位を決定した。結晶を鏡面加工し、(100)面にITO電極をスパッタし偏光顕微鏡観察およびインピーダンスアナライザーで誘電率の温度依存性を測定した。その結果、ドメイン構造が250℃付近においてRhombohedral相からTetragonal相へ変化していることが偏光顕微鏡観察で分かり、誘電分散が250℃近傍に近づくに連れて消失し、それ以上の温度では全く誘電分散は生じていないこと、誘電率のピークが340℃付近に見られること、偏光顕微鏡観察で、300℃付近まである程度透明であった結晶が突然変化し全く透過光が消光し、観察面が暗くなってしまう現象および、360℃で突然に透過光強度が上がりまた透明になる現象が観察された。また、ソーヤータワー回路でP-Eヒステリシス曲線を観測し、ミリトロン測定計を用いて、圧電定数の最大値がd_<33>=250pm/Vであることが分かった。
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