2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560663
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大村 孝仁 National Institute for Materials Science, 新構造材料センター, 主任研究員 (40343884)
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Keywords | ナノインデンテーション / 粒界 / 転位 / 格子欠陥 / 塑性変形 / 鉄鋼材料 / 相変態 / 異相界面 |
Research Abstract |
Fe-Si合金双結晶材料において、Σ51粒界の材料についてナノインデンテーションによる評価を行った。負荷過程の変形挙動を解析したところ、荷重-変位曲線上に塑性変形の開始に対応するpop-inと呼ばれる明瞭な挙動が現れた。変形挙動と組織の関係を考察するため、測定点として粒界上と粒内を選択して比較したところ、粒界上においてより低い応力で塑性変形が開始する傾向が明確となった。比較的低い応力で塑性変形が開始することは、この粒界が転位源となっていることを示唆するものである。これは、IF鋼における大角ランダム粒界における結果と類似していることから、大角粒界は有効な転位源として働くことが明らかとなった。 さらに、Fe-Niレンズマルテンサイトについて、各組織と変形挙動の関係を調べた。その結果、midribの位置で最も硬さが高く、midribから離れるに連れて硬さが低下し、未変態オーステナイト相が最も軟らかいことが明らかとなった。また、未変態オーステナイト相内において、変態した相との界面に近い部分においては、変態ひずみを緩和するために導入されたと考えられる転位が高密度に存在しており、その部分の硬さは、異相界面から離れた位置のオーステナイト相の硬さよりも高いことが明らかとなった。さらに、変形初期の荷重-変位曲線の解析から、塑性変形の開始の臨界応力が最も高いのは未変態オーステナイト相、次にmidrib、最も低い応力で塑性変形が開始するのは高転位密度領域であることがわかった。
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