2009 Fiscal Year Annual Research Report
化学溶液法を用いた熱電酸化物の精密化学合成と微細組織形態制御による高変換効率化
Project/Area Number |
20560670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井藤 幹夫 Osaka University, 工学研究科, 准教授 (00294033)
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Keywords | 熱電変換材料 / 元素置換 / 錯体重合法 / ゼーベック係数 / 電気抵抗率 / パルス通電焼結 / 出力因子 / 低温迅速焼結 |
Research Abstract |
本研究では溶液プロセスの一つである錯体重合法およびパルス通電焼結プロセスを利用して,元素置換を施したSrTiO_<3>系熱電変換酸化物合成プロセスの低温短時間化を系統的に試みた.Yドープ量を変化させた場合,Sr_<0.85>Y_<0.15>TiO_<3>組成ではわずかにY_2Ti_2O_<7>相の析出が認められ,本組成ではYの固溶限を超えているものと思われる.単相が得られた試料粉末に焼結体の電気抵抗率を低減させる目的で,電気抵抗率の小さなTiB_2粉末を各種組成にて添加・混合し,SrTiO_<3>相およびTiB_2相複合焼結体の合成を試みた.得られた焼結体はすべてSrTiO_<3>相およびTiB_2相の2相からなっており,またSEMによる微細組織の観察でも特に反応相の存在は確認されず,両相が反応することなく目的とした複合焼結体が合成できることが明らかとなった。その結果,TiB_2の添加により電気抵抗率を著しく減少させることができ,熱電性能を評価した結果,800K以上の温度域で従来の固相反応法により作製されたYドープSrTiO_<3>材料に匹敵する出力因子が得られた.また,焼結処理中の試料の収縮挙動を調査した結果,TiB_2添加試料の収縮開始および終了温度が無添加試料に比較して低温側に移行し,試料の緻密化が200℃以上低温にて終了することが分かった.このことより,従来の固相反応法に比較して著しく低温でのパルス通電焼結処理による試料合成が可能であり,錯体重合法,TiB_2添加およびパルス通電焼結の組み合わせが,従来法に比して極めて低温かつ短時間でのYドープSrTiO_3材料合成プロセスとして有望であることが明らかとなった.
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Research Products
(5 results)