2009 Fiscal Year Annual Research Report
反応アーク溶解法によるバイモーダルコンポジットの合成と評価
Project/Area Number |
20560675
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
津田 大 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 准教授 (80217322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 利之 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (20219372)
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Keywords | 新規複合材料 / 高強度 / 微細組織 / その場合成 / 二重複相 / TEM観察 / TIC粒子 / Ti析出 |
Research Abstract |
平成21年度では、まずTiC体積率の高い(50Vol%TiC以上)Ti-TiC複合材料の合成を目指した。しかし、Ti、Cそして(窒素源とした)TiNの3種類の混合粉末を用いて、アルゴンガス雰囲気中での反応アーク溶解を行ったところ、高TiC体積率の複合材料は合成できないことが判明した。この問題を解決する方法として、TiとC混合粉末をアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気下で反応アーク溶解することを試みたところ、上手く高体積率TiC複合材料の合成が可能となった。すなわち、TiN粉末を窒素源として用いることは、TiNが一旦原子状のTiとNに分解することが必要であり、これに伴う吸熱反応は反応アーク溶解中の系の温度を低下させることになる。しかし、窒素ガスを窒素源として用いる場合にはTiN分解のための吸熱によるエネルギーロスがなく、系はTiC合成の発熱反応のみとなり、高体積率TiC合成に必要なエネルギーを確保することが可能となったと考えられる。 また、この方法で作成された複合材料のTiC体積率は設計体積率よりも大きくなることが明らかになった。TiCは代表的な不定夢ヒ化合物でありまた、TiCとTiNはともにNaCl型(Fd3m)結晶構造を有し、また両者は全率擬二元系化合物を作る事が知られている。本方法ではTiリッチなTiCが合成されることが先行研究で分かっており、さらにアーク溶解中周囲には十分な窒素が有る状態においてこのTiC中に多量のNが固溶したTi(C,N)が合成されたと考えられる。そのため、計算で求めた体積率よりも多量のTiCが合成されたと考えている。この場合も、TiC中には高密度にα-Tiの析出が認められ、TiCとα-Tiの結晶学的方位関係も同様であることが確認された。さらに、α-Ti析出の増大に伴いTiCの硬度値は低下する事も明らかとなった。
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