2010 Fiscal Year Annual Research Report
銅溶錬プロセスにおける貴金属のスラグ損失に関する基礎研究
Project/Area Number |
20560690
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山口 勉功 岩手大学, 工学部, 教授 (70220259)
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Keywords | 白金 / パラジウム / カルシウムフェライト / 分配比 / スラグ / 銅製錬 |
Research Abstract |
スラグへのPGMの損失を抑え、高い回収率を達成するうえでスラグと溶銅間のPGMの分配データが重要である。しかしながらCaO-FeOx系スラグに対する報告例は存在していない。そこで本研究では20mass%CaO-80mass%FeOx系スラグと溶銅間の白金とパラジウムの分配比を1573K、酸素分圧logPo2=-9~-6の条件下で測定した。 実験は、マグネシア坩堝に約5gの銅とスラグ約10gおよび全量に対して1mass%になるように白金とパラジウムを挿入した。試料はCO-CO_2混合ガスを用いて、酸素分圧logPo_2を-9~-6に制御し、1573K、24時間保持した。その後急冷し、各成分濃度をICPにより定量した。 本実験の酸素分圧において、銅のスラグへの溶解度は1.2~4.7mass%程度の値を示し、酸素分圧の増加に伴い銅の溶解度は大きくなる。本実験結果はTakedaらの報告値と良い一致を示した。 CaO-FeOx系スラグと溶銅間の白金の分配比は、酸素分圧の増加に伴い大きくなる。白金の分配比は0.002~0.005程度の値を示し、スラグに比べ溶銅中に濃縮される。また、パラジウムのCaO-FeOx系スラグと溶銅間の分配比も酸素分圧の増加に伴い大きくなる。パラジウムの分配比は0.0007~0.002程度の値を示した。白金およびパラジウムの分配比は、酸素分圧が低く、銅溶解度が低い場合に小さい。このことから、銅製錬においてスラグへの白金とパラジウムの損失を低減するためには、銅のスラグロスが少ないFeOx-SiO_2-CaO系スラグを利用することが望ましいと考える。
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