2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖類アモルファスマトリクスのゼロモビリティー温度に基づく不安定物質の超高度安定化
Project/Area Number |
20560702
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
今村 維克 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70294436)
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Keywords | 糖アモルファス / タンパク質 / 安定化 / 乾燥 / モビリティー / 失活 / 水素結合 / 赤外線スペクトル |
Research Abstract |
糖によって形成されたアモルファスマトリクスは,タンパク質などの不安定物質を包括すると,その劣化を抑制する働きがある.この糖類アモルファスマトリクスによる包括安定化作用は,マトリクスを構成する糖分子の状態と密接な関係があると考えられる.従って,室温以下の低温域においては,極めて高度な保存性が期待できる,本研究では,昇温過程における糖分子の赤外線吸収(IR)スペクトルを連続的に測定できる温度操作フーリエ変換赤外分光分析(TS-FTIR)を行った結果,Tgより数十℃低いある温度(T*)において糖分子間水素結合が高度に維持される温度域が存在することが分かった.このT*以下の温度領域では,糖分子のモビリティーが極端に制限されており,糖類アモルファスマトリクスに包括した酵素(アルカリフォスファターゼなど)の失活速度の温度に対する増加勾配がT*を境として顕著に大きくなることが明らかになった.そこで、種々の糖類からなるアモルファスマトリクスのT*を測定するとともにT*を上昇させる物質の探索を行った.その結果,高分子量の糖ほどT*は高いが,T*以下での酵素の失活速度が高いことが分かった.また、高分子やタンパク質の添加が顕著にT*を増加させることが分かった.しかし,それら糖-高分子あるいはタンパク質複合アモルファスマトリクスにおけるモデル酵素の失活速度の温度依存性を調べた結果.高分子・タンパク質の添加により,T*以下の温度域における酵素の失活速度も増加し,タンパク質安定化作用自体が減少することがわかった.
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