2010 Fiscal Year Annual Research Report
感温性高分子複合化磁性ナノ粒子の合成と排水中の有用物質分離回収への応用
Project/Area Number |
20560704
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 健彦 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10274127)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫原 修治 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80108232)
飯澤 孝司 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60130902)
|
Keywords | 感温性ゲル微粒子 / 疎水性相互作用 / 吸脱着速度 / 磁性粒子 / N-イソプロピルアクリルアミド / 複合化率 / 表面疎水化 / 親疎水転移 |
Research Abstract |
感温性高分子複合化磁性微粒子を用いた、温度変化による疎水性の有用物質の吸着分離回収システムの検討を行い、1)吸着特性の検証、および、2)分離効率の向上について検討した。 1)吸着剤は、直径50nmの磁性微粒子の表面をシランにより疎水化した後、感温性のポリN-イソプロピルアクリルアミド(pNIPA)ゲルをと複合化して作製した平均直径400nmの感温性磁性ゲル微粒子である。ポリフェノールの一種であるタンニンを用いて吸着特性を検証した結果、高温になるほど微粒子の疎水性が高まり、疎水性相互作用による吸着量が増加した。これにより、温度スイングによる吸脱着分離回収の可能性が示された。 2)温度スイングによる吸着分離の効率を向上するには、(1)ゲル微粒子の吸着量を増す。(2)吸着速度を増す。(3)脱着率(脱着量/吸着量)の向上の3点が挙げられる。(1)吸着量向上のためには、微粒子中のpNIPA複合化率を高めることが効果的で、合成時の界面活性剤濃度が低く、モノマー濃度が高いほどNIPAゲルの複合化率は高くなった。吸脱着連続実験では、吸着量は開始2時間後には最大吸着量の70%に達したが、脱着量は10時間で最大吸着量の29%であった。(2)吸着速度向上のために、超音波破砕機を使用して吸着時の微粒子の分散性を高めたところ、吸着量は、単位重量あたり5倍以上増加したが、脱着率が減少した。そこで、(3)脱着率向上を目的として、親水性モノマーを共重合し、低温時の微粒子の親水性を高め、疎水性を弱めたところ、高温時の吸着量の低下の方が低温時の脱着量の低下より大きく、その結果、脱着率はpNIPA単独の場合より低下することが示された。 以上より、吸着分離の効率を向上するには、親疎水転移する感温性高分子pNIPAのゲル微粒子中の割合を高くし、吸着操作時に微粒子の分散性を高めることが有効であることが明らかになった。
|
Research Products
(5 results)