2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ,ピコ秒時間分解分光法を用いたマイクロ波による反応促進機構の解明
Project/Area Number |
20560712
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 憲司 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (00216714)
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Keywords | マイクロ波 / 新規反応場 / 非熱的効果 / 分子回転 / 活性化エネルギー / 分子配向 / 蛍光異方性 / 偏光 |
Research Abstract |
本年度は,これまでに得られた結果を確かめるための実験及びデーター解析を中心に行った。実験には,これまでに開発した,マイクロ波照射場で,ピコ秒の時間分解能で蛍光寿命を測定できる体系を使用した。この装置を用いて,蛍光プローブ分子の回転運動に及ぼすマイクロ波照射の影響を検討し,昨年度までに得られている結果の検証を行った。溶媒としてはベンゼン,メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノール,グリセロールおよびそれらの混合溶媒を用いた。プローブ分子としてクマリン153を用いた。マイクロ波の電場強度は,2000から4000V/mであった。一般的には,このような電場強度は化学反応に及ぼす影響として検出するには小さい電場強度である。マイクロ波の電場のみによる効果を抽出するために,通常加熱により同様の温度での測定も行なって,比較した。蛍光強度の減衰は,これまでに得られている結果と同様2つの指数関数の和でフィッティングすることが可能で,プローブ分子の回転モードとして1の運動モードが存在することが示された。それぞれの回転速度と蛍光寿命の温度依存性を検討し,それらの活性化エネルギーを求めた。プローブ分子の励起光の偏光方向と蛍光観測の偏光方向が垂直の時は,回転速度はいずれの溶媒中でもマイクロ波加熱の時が小さな活性化エネルギーである事が分かった。つまり,マイクロ波照射場では,双極性プローブ分子の回転が容易であることが再確認された。
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