2009 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセル抽出を利用した水溶液中微量金属イオンのナノ粒子化回収法
Project/Area Number |
20560761
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長縄 弘親 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, グループリーダー (00354837)
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Keywords | 有価物回収 / ナノ粒子 / 逆ミセル / 液液抽出 / レアメタル / 放射線 / パルスラジオリシス / 水和電子 |
Research Abstract |
アルカンなどの無極性溶媒中で生成する界面活性剤のナノサイズ分子集合体である逆ミセルを液液分配法(溶媒抽出法)で利用するとともに、ナノ粒子製造のためのナノ反応場として用いる研究を行った。まず、めっき廃液中の貴金属(金Au、白金Pt、パラジウムPd)を対象として、鉄Fe、銅Cu、ニッケルNi、亜鉛Znなどの不純物を多量に含むめっき廃液模擬液中から高選択的に抽出するとともに、還元剤(たとえば、ヒドラジン)を加えることで逆ミセル内で貴金属のナノ粒子を生成させた。生成したナノ粒子は、逆ミセルを含む有機相の溶媒であるイソオクタンをエバポレータで蒸発させた後、エタノールで洗浄することで精製した。精製後のナノ粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観測した。また、貴金属以外にも、カドミウムCdを対象とした逆ミセル抽出・ナノ粒子化実験も行った。カドミウムの抽出剤として、8-キノリノール誘導体を用いることで、鉄Fe、亜鉛Zn、クロムCrなどの不純物が多く存在する中から、高選択的にカドミウムを抽出することができた。さらに、逆ミセルが共存する有機相に硫化ナトリウム等を加えることで、逆ミセル内にナノ粒子を生成させる方法を検討中である。また、ユウロピウムEuを逆ミセル内に抽出・分離するとともに、逆ミセルの粒径を制御するための研究を前年度に引き続いて行った。陰イオン性界面活性剤AOTと分子性抽出剤ジアミド(DA)を組み合わせて用いることで、Euを高選択的に逆ミセルに濃集することができ、さらにDAの濃度を変化させることで逆ミセルサイズを制御できることがわかったが、今年度は、この現象のメカニズムについてさらに詳細な検討を行い、定量化することができた。また、放射線を利用した金属ナノ粒子生成の可能性についても詳しく検討し、水和電子の関与を明らかにした。
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