2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナミテントウにおける鞘翅斑紋遺伝子の地理的勾配の年代変化に対する地球温暖化の影響
Project/Area Number |
20570026
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野村 哲郎 Kyoto Sangyo University, 工学部, 教授 (50189437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祝前 博明 京都大学, 農学研究科, 教授 (00109042)
祝前 博明 京都大学, 農学研究科, 教授 (00109042)
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Keywords | ナミテントウ / 地球温暖化 / 地理的勾配 / 年代変化 / 鞘翅斑紋遺伝子 / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
ナミテントウの鞘翅斑紋には、優劣関係が明らかにされている4つの対立遺伝子に支配された4型(二紋型、四紋型、斑型、紅型)がある。駒井ら(1956)の調査では、日本列島では北に行くほど紅型が多く、南に行くほど二紋型が多いという顕著な地理的勾配が報告されている。駒井らは、このような地理的勾配は斑紋型間の気温に対する適応度の違いによって形成されたものとしている。駒井らの調査からすでに60年余りが経過し、その間、地球温暖化を含め自然環境に急激な変化が生じた。本研究は、ナミテントウの鞘翅斑紋に見られる多型の頻度の地理的分布を調査し、駒井らの調査結果と比較することにより、自然環境の急激な変化が種内の遺伝子構成に及ぼす影響を調べることを目的とする。平成20年度は、とくに北海道の産地のデータを充実させるための調査を行い、日本全国の95産地から総数31,502個体の標本を得た。これらの標本に見られる斑紋遺伝子の地理的分布を、駒井らの記録と比較することにより、地理的勾配は依然として維持されているものの、勾配は過去60年の間に統計的に有意に緩やかになったことを示した。また、各産地に近接した気象測候所の気象データを用いて、過去60年あまりの間の気象の変化を定量するとともに、斑紋遺伝子の頻度への気象(とくに気温)の影響を統計解析した。さらに、平成20年4月から6月までの間に野外で産まれたナミテントウの卵を採取し、実験室内で飼育・羽化させ、斑紋型別の適応度の季節推移を集団遺伝学的手法により推定した。以上の調査・分析から、過去60年間に生じた斑紋遺伝子の頻度の年代変化は、気象の温暖化に伴い本種が主要な繁殖時期を夏期から春期に移行させたことによってもたらされたものと考えられた。
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