2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナミテントウにおける鞘翅斑紋遺伝子の地理的勾配の年代変化に対する地球温暖化の影響
Project/Area Number |
20570026
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野村 哲郎 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (50189437)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祝前 博明 京都大学, 農学研究科, 教授 (00109042)
|
Keywords | ナミテントウ / 地球温暖化 / 地理的勾配 / 年代変化 / 鞘翅斑紋遺伝子 / 遺伝子頻度 / クリサキテントウ |
Research Abstract |
ナミテントウの鞘翅斑紋には、優劣関係が明らかにされている4つの対立遺伝子に支配された4型(二紋型、四紋型、斑型、紅型)がある。駒井ら(1956)の調査では、日本列島では北に行くほど紅型が多く、南に行くほど二紋型が多いという顕著な地理的勾配が報告されている。駒井らは、このような地理的勾配は斑紋型間の気温に対する適応度の違いによって形成されたものとしている。駒井らの調査からすでに60年余りが経過し、その間、地球温暖化を含め自然環境に急激な変化が生じた。本研究は、ナミテントウの鞘翅斑紋に見られる多型の頻度の地理的分布を調査し、駒井らの調査結果と比較することにより、自然環境の急激な変化が種内の遺伝子構成に及ぼす影響を調べることを目的とする。前年までの調査結果の統計解析により、各地域の斑紋遺伝子の遺伝子頻度には、気候の温暖化に呼応した定方向の年代変化が認められることが明らかになった。今年度は、さらに各地域の気候と斑紋遺伝子の頻度構成との関係について情報を蓄積することを目的として、各地の気象台および測候所が公表するするデータを用い、これまで採集を行ってきた地点の斑紋遺伝子の構成割合との関連性について詳細な解析を行った。また、ナミテントウの同胞種クリサキテントウの斑紋型の遺伝様式と国内での地理的変異について調査を行った。クリサキテントウの斑紋型は、ナミテントウとほぼ同様の遺伝様式にしたがうことが明らかになったが、遺伝子の構成割合にはナミテントウに見られるような明瞭な地理的勾配が存在しないことが明らかになった。両種における地理的勾配の有無は、ナミテントウに見られる地理的勾配の適応的意義を理解する上で極めて重要な意味をもつものと考えられた。
|
Research Products
(3 results)