2009 Fiscal Year Annual Research Report
変異体構造解析による光化学系II複合体の構造制御機構の解明
Project/Area Number |
20570038
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沈 建仁 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60261161)
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / 膜タンパク / 結晶化 / 結晶構造解析 / タンパク質複合体 / 酸素発生 / 変異体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光合成光化学系II複合体(以下PSIIとする)における各低分子量サブユニ2ットの役割を、それぞれのサブユニット欠失変異体を用いて、結晶化・X線結晶構造解析と機能解析を組み合わせて解析し、PSII複合体の構造形成・制御機構を明らかにすることである。本年度では、PsbM, PsbI欠失変異体からPSIIを単離精製・結晶化し、構造解析と機能解析を行った。PsbMはPSII二量体の中心に位置し、2つのPSII単量体をつなぐ境界に存在していることから、PSII二量体の形成と安定化に重要であるとされてきた。一方、PsbIはPSII二量体の周辺部、D1サブユニットの外縁に存在し、立体構造から二量体の形成や安定化に関与しないことが推測される。PsbM, PsbI欠失変異株由来PSIIの結晶構造解析により、それぞれのサブユニットの存在位置を確認した。PsbM変異体では、PSII二量体の量が減少したので、PsbMが二量体の形成に重要であるという立体構造からの推定と一致した。しかし、PsbMが欠失しても二量体が相当量形成され、PsbMがなくてもPSII二量体が形成できることが示された。一方、PsbI変異体でもこ量体の量が減少し、立体構造からの推定と異なった結果となった。両変異体から精製したPSII二量体の安定性を調べるため、高温・界面活性剤処理を行った。その結果、この処理に対して野生株やPsbI変異株由来の二量体は安定であったが、PsbM変異株由来二量体は単量体へ解体された。これらの結果から、PsbIはinvivoでのPSII二量体の形成に必要であり、一旦形成された二量体はPsbIがなくても安定であるのに対し、PsbMを欠いたPSII二量体は不安定になり、界面活性剤処理により単量体へ分解されたことが結論付けられた。
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Research Products
(7 results)