2009 Fiscal Year Annual Research Report
光感覚性松果体における「明暗」及び「色」情報の生体への作用とその神経経路
Project/Area Number |
20570068
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
保 智己 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (60188448)
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Keywords | 松果体 / 神経節細胞 / 感色性応答 / 非感色性応答 / 紫外光受容 / パラピノプシン |
Research Abstract |
神経細胞の投射及び分布:前年度明らかとなった松果体複合体からの神経経路は左右の中脳に投射していることが示された。そこで、まずはこの経路の左右差について調べた。その結果、左右に投射している神経細胞は松果体において特に偏りは見られなかった。そのことを確認するために、松果体を4つに分割し、その分布を統計的に調べた。その結果、中脳の左右に投射している神経細胞は松果体にランダムに分布していた。加えて、松果体腹側部での分布では一見、尾側に多く存在するように思われたが、統計的に有意な差は見られなかった。また、松果体神経節細胞は副松果体神経節細胞に比べて、中脳のかなり深部(または尾側)まで投射していることが示唆された。 電気生理学的実験(光応答):松果体を構成する様々な細胞からの光応答を記録した。本来の目的である感色性神経節細胞からの記録は成功に至っていないので、この細胞からの記録については次年度でも続けて実施する。しかしながら、細胞内記録の実験から、緑色光よりも赤色光の方に感受性が高い光受容細胞や松果体終末嚢の腹側部において脱分極性応答を示す介在性ニューロンからの光応答の記録に成功した。 遊泳活動リズム:今年度の目標の一つであったよりスナヤツメ幼生の概日時計の周期については2カ月以上の記録が可能となり、その結果τは24.7時間であった。成体もほぼ同じであり、スナヤツメの遊泳活動リズムの周期は約25時間であることが明らかとなった。また、成体と側眼を有しない幼生では明らかに日周周期への同調は成体は明瞭であるが、幼生は暗期には活動するが、成体ほど明瞭ではない。このことから側眼が同調に関与しているとも考えられるが、カワヤツメでの結果から考えると側眼によるマスキングによるものであると考えられる。
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Research Products
(13 results)