2010 Fiscal Year Annual Research Report
光感覚性松果体における「明暗」及び「色」情報の生体への作用とその神経経路
Project/Area Number |
20570068
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
保 智己 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (60188448)
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Keywords | 松果体 / 神経節細胞 / 感色性応答 / 非感色性応答 / 紫外光受容 / パラピノプシン |
Research Abstract |
電気生理学的実験:脊髄からの感色性応答は記録できていないが、松果体からの感色性応答において興味深い結果が得られた。感色性応答における緑色光による興奮のメカニズムは未だ解明されていない。感色性神経節細胞からの応答において、緑色光の長時間露光ではインパルスの増加が6分間の照射でも減少することはなかった。このことは興奮性応答においても、抑制性応答にかかわるパラピノプシンと同じようなbi-stableな特性を持った視物質が関与している可能性が考えられる。 遊泳活動リズム:昨年度の研究からスナヤツメの行動リズムの周期はカワヤツメとは異なり、24時間よりも長いことが示された。しかしながら、行動リズムの周期は測定方法によっても異なることが知られている。そこで、カワヤツメと同様な装置を作製し、スナヤツメを用いた実験を行った。その結果、概日リズムの周期は24時間よりも長かった。このことより、スナヤツメとカワヤツメの概日リズムの周期の違いは種の違いによるものであることが明らかとなった。環境光の明暗サイクルへの同調を調べた結果、皮下にある側眼の摘出では影響はなかったが、松果体摘出によって同調されなくなった。興味深いことは松果体のみを摘出した個体において、明期に活動が活発になる個体が見られた。これによって、皮下に存在する側眼であって何らかの機能を果たしていることが示唆された。しかしながら、すべての個体ではなかったので、摘出の程度を詳細に調べる必要がある。これまでの行動リズムの研究からヤツメウナギでは成体および幼生においても概日リズムの時計は松果体と密接な関係にあり、環境光への同調に関しても松果体が必要不可欠であることが示された。環境光からの「明暗」情報は松果体を経由して、時計情報と共にヤツメウナギの行動を制御していることが示唆された。
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Research Products
(14 results)