2008 Fiscal Year Annual Research Report
維管束植物の頂端分裂組織の進化を原形質連絡ネットワークから探る
Project/Area Number |
20570097
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今市 涼子 Japan Women's University, 理学部, 教授 (60112752)
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Keywords | 根頂端分裂組織 / 原形質連絡 / TEM / シダ植物 / 裸子植物 / 被子植物 / 頂端細胞 / 進化 |
Research Abstract |
初年度として、シダ植物大葉類と小葉類の根端分裂組織のPDネットワーク解析を行った。 大葉類では、初期の分岐群であるゼンマイとリュウビンタイ、そして派生的な分岐群であるイワヒメワラビを材料に用いた。これらはともに頂端細胞を1個もつ頂端分裂組織であり、ともに頂端細胞とこれらに隣接する細胞群を頂点として高い原形質連絡密度を示した。この値はそれぞれの茎頂分裂組織に匹敵し、数十個/1μm^2にも及んだ事から、茎頂と同様lineage specific PDネットワーク(LPD、大葉類型)の名称を用いることとした。小葉類では頂端細胞型を示すクラマゴケ類と、複数始原細胞群型を示すヒカゲノカズラ類(トウゲシバ、ミズニラモドキ、とヒカゲノカズラ)を解析した。頂端細胞型のクラマゴケ類は、大葉類と同様、頂端細胞とまわりの細胞群を頂点とする高い密度(数十個/1μm^2)をもつLPDネットワークを示した。これに対して、複数始原細胞群型のヒカゲノカズラ類の根端の原形質連絡密度は、数個/1μm^2と、極端に低い値をもつことが示された。これらの値は、茎頂での値と良く似ており、interface specific PDネットワーク(IPD、種子植物型)と考えられる。以上から、(1)根端分裂組織も茎頂分裂組織とほぼ同様の値のPD密度をもつこと、(2)頂端細胞型の根端をもつ大葉類は大葉類型PDネットワークを示すこと、そして(3)小葉類は根端分裂組織が頂端細胞をもつか否かで、大きく異なり、シダ植物であるにも係わらず、大葉類型PDネットワークと種子植物型PDネットワークの両方をもつこと、が示された。
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Research Products
(1 results)