2008 Fiscal Year Annual Research Report
クレン古細菌が産生する相補性トレオニンtRNA合成酵素の構造と機能
Project/Area Number |
20570104
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
竹中 章郎 Iwaki Meisei University, 薬学部, 教授 (80016146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 武司 いわき明星大学, 科学技術学部, 教授 (00108193)
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Keywords | アミノアシルtRNA合成酵素 / タンパク質合成系 / X線結晶解析 / クレン古細菌 / トレオニルtRNA合成酵素 |
Research Abstract |
Threonly-tRNA syntheraseの遺伝子を2種類保有するクレン古細菌のAeropyrum pernix (Ap)とSulfolobus tokodaii (St)について,それぞれのThrRS-1とThrRS-2の遺伝子を大腸菌内に導入してタンパク質を発現させ,合計4種類のAp-ThrRS-1とAp-ThrRS-2, St-ThrRS-1とSt-ThrRS-2を得た.また位相決定に利用するためにメチオニンをセレノメチオニンに置換した4種類のタンパク質も得た,これらの結晶化実験から,いずれも結晶化が可能であることがわかった.比較的良質の結晶を与えたAp-ThrRS-1のセレノメチオニン置換体の結晶について放射光を用いて分解能2.3AのX線回折データを測定した.MAD法で位相を決定し,立体構造を組み立てて,最小二乗法で原子パラメータを精密化した.Ap-ThrRS-1の構造は,2分子のタンパク質(サブユニット)が触媒ドメイン同士で会合して二量体を形成し,アンチコドン結合ドメイン同士が互いに反対方向に伸びている.予測どおり,編集ドメインが存在しない.触媒ドメインの活性部位には1C2H型のZnフィンガーが存在する.この触媒部位はEc-ThrRSのものと似ていて,周りのアミノ酸残基もよく保存されている.アンチコドン結合ドメインも,Ec-ThrRSのものとよく似ていて,アンチコドンに結合する残基が保存されている.以上の構造的特徴からAp-ThrRS-1はcat型でトレオニン以外にセリンもtRNA^<Thr>に結合させる可能性があることが立体構造からも明らかとなった.これらの成果をまとめて,論文を作成し,学術雑誌Acta Cryst., F64,903-910(2008)に発表した.また,2008年8月に大阪で開催された国際結晶学連合大会にて発表した.
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