2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体複製制御に関わるInitiator Titration機構の解明
Project/Area Number |
20570164
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 徹 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (80109256)
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Keywords | DNA複製 / DnaA / 大腸菌 / 蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
我々は大腸菌ゲノム上に存在する領域(datA)が、複製開始タンパク質DnaAを多量に結合することにより遊離DnaAの濃度を低下させ、過剰な複製開始を抑制する事をこれまでに明らかにしてきた。この機構はInitiator Titrationとよばれている。本研究ではInitiator Titrationの分子機構をより詳細に理解し、また、細胞周期におけるDnaAの挙動を解明する目的で以下の研究を行った。 1.datAの機能へのIHFの関 試験管内、および生体内で、datA内に存在するIHF認識配列にIHFタンパク質が結合することが判明した。DnaA結合部位とIHF結合部位、およびそれらの近傍にいろいろな変異を導入した株の解析から、IHFにより折り曲げられたdatA領域全体に、秩序正しい3次元構造の変化が引き起こされ、多量のDnaA分子が結合可能になることが判明した。 2.DnaAタンパク質ドメインIIの最小必須領域の決定 DnaAタンパク質は、4つの機能ドメインからなることが知られているが、このうちドメインIIは正確な領域や機能が不明であった。本研究では、ドメインIIはドメインIとIIIをつなぐためのリンカーで、特定の配列は必要ではなく、30-36残基が欠失可能であることを見いだした。 3.DnaA-EYFP融合タンパク質に依存して生育する株の構築と解析 染色体上のdnaA遺伝子内のドメインIIコード領域の欠失可能部位をEYFPに置換した株を作成した。この株はDnaA-GFP融合タンパク質に依存して正常に生育した。蛍光顕微鏡による解析の結果、DnaAは核様体上に分布し、さらに複製開始時の前後には複製起点に集合し、輝点として観察されることを見いだした。
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