2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオポリン機能異常による細胞癌化メカニズムの解析
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20570184
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 正啓 Osaka University, 生命機能研究科, 助教 (40432504)
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Keywords | ヌクレオポリン / Nup98 / Crm1 |
Research Abstract |
本研究では核膜孔構成因子(ヌクレオホリン)の一つであるNup98の機能異常による細胞癌化のメカニズムを明らかにする事を目的としている。Nup98は染色体転座により数多くのパートナーと融合遺伝子を形成し、それらが白血病の原因となる事が知られている。これまでに(i)Nup98の形成する核内ドットは核外輸送因子Crm1と共局在を示すこと、(ii)Nup98ドットはCrm1の阻害剤であるレプトマイシンBで処理により速やかに消失する事、(iii)Nup98のFGリピート領域がCrm1との共局在に必要なこと、を見出している。そこで、本年度はNup98の様々な領域とCrm1の相互作用を生化学的手法により詳細に解析した。その結果、Nup98とCrm1の結合にはGTP結合型のRanが必要である事が明らかとなった。また、Nup98のFGリピート部位はCrm1と結合するのに対し、C末側のFGリピートを持たない領域はCrm1との相互作用を示さない事が明らかとなった。興味深いことに、Nup98のFGリビート領域はこれまで報告されているすべてのNup98融合遺伝子において保持されている領域である。そこで、代表的なNup98融合遺伝子として知られているNup98-HoxAを細胞に発現させ、Crm1依存的な核外輸送への影響を見たところ、その発現により顕著に核外輸送が阻害されることが分かった。これらの結果は、Nup98の機能異常によるCrm1の核外輸送の阻害と、細胞癌化の関連を示唆するものである。
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