2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能進化ゲノミクス:進化解析を用いた共生遺伝子のゲノム網羅的探索とその実験的検証
Project/Area Number |
20570220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 誠志郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (10334301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00193524)
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Keywords | 分子進化 / 共生 / 協力行動 / マメ科植物 / 根粒菌 / 遺伝子重複 / 水平移行 / ゲノムアイランド |
Research Abstract |
本解析により、いくつかの共生関連遺伝子に特有な進化的特徴がみつかった。これまでに遺伝子重複と正の自然選択、遺伝子機能の平行進化、遺伝子水平移行に伴う宿主特異性進化のような進化現象を見つけている。特に本年度は遺伝子の重複と水平移行について論文執筆のための詳しい解析を行った。既知の根粒菌感染遺伝子nodA-nodZについて解析したところ、23遺伝子のうち数遺伝子についてはっきりとした重複起源が解析でき、その後の水平移行についても追跡可能であることがわかった。また、先年より続けているMesorhizobiumゲノムの全蛋白質を用いた解析を続けた結果、共生アイランド全体の詳しい検出に成功した。一方でこの領域内に数多くの共生とは関係のないハウスキーピング遺伝子の存在が推測され、ここから複数回の共生アイランド水平移行とゲノム内遺伝子転移の可能性が示された。さらに本解析による機能推定は1つ1つの共生関連遺伝子の検出に成功し、他にも共生アイランドの外に今まで共生への関与が知られていなかった数多くの遺伝子を見つけることに成功しつつある。これまでに、これらの推定で、本当に新しい共生関連遺伝子を発見し得たのかどうかを調べるため、それら推定遺伝子の遺伝子破壊菌株を作成してきた。植物に感染させ、共生機能の実験的検証を行ったところ、新しい結果が得られつつある。過去の多くの研究で見つかった共生関連遺伝子では、その破壊により根粒形成能力が低下することがわかっている。本研究の推定遺伝子の破壊でも、確かにそのような感染数低下型の遺伝子がいくつか見つかったが、逆に遺伝子破壊により感染数が増える遺伝子を発見した。さらに本課題では、数多くのその他の遺伝子の機能について、大量遺伝子破壊により解析する予定である。
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