2010 Fiscal Year Annual Research Report
飼育下マカク集団の遺伝的多様性の変化と近親交配の影響に関する研究
Project/Area Number |
20570226
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 洋之 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (20335243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
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Keywords | ニホンザル / アカゲザル / 遺伝的多様性 / 近親交配 / 適応度 |
Research Abstract |
本研究は,第1の目的として,集団形成後約30年の歴史をもつ当研究所のマカクザル(ニホンザルとアカゲザル)繁殖コロニーにおいて,遺伝的多様性および集団の近交係数の経時的変化を明らかにし,飼育記録から推測される近親交配の影響との関連を調査し,第2の目的として,閉鎖集団に近い環境に生息する宮崎県幸島の野生ニホンザル集団について同様の調査を行い,ニホンザルにおいて初めて遺伝的多様性と適応度との関係を明らかにすることを計画している 平成22年度は,当研究所のマカクザルコロニーの現在の遺伝的多様性の特徴についての知見を第23回国際霊長類学会京都大会にて発表した.これらマカクザルコロニーは,1984年~1987年にかけて設立されているため,設立からの群れの構成個体の保存血液試料のDNA化とマイクロサテライト遺伝子型判定をすすめ,遺伝的多様性の経時的変化の調査を開始した.また,アカゲザルにおいては,2003年から2008年に在籍したオス個体について,Y染色体上のマイクロサテライト3遺伝子座の遺伝子型をしらべ,Y染色体の分類を行った.インド群では,2003年の段階ですでに1種類のY-ハプロタイプに固定していた.中国群については,2003年にアダルト個体4頭中(全オス個体でも),3種類のY-ハプロタイプが観察されたが,2008年には,アダルト個体で1種類,全オス個体で2種類に減少していたことがわかった.幸島の野生ニホンザル集団の全血液試料のDNA化とマイクロサテライト遺伝子型判定を完了した
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