2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネ紋枯病抵抗性・感受性系統における炭素分配制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20580016
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野瀬 昭博 Saga University, 農学部, 教授 (80045137)
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Keywords | イネ / 紋枯病 / 炭素分配 / 抵抗性 / 感受性 / 解糖系 / 代謝中間体 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
イネ葉鞘細胞のイソプロパノイド・澱粉・スクロース代謝における炭素分配クロスロード(炭素分配クロスロード)において、解糖系が関与する炭素分配クロスロードへの炭素供給に係る酵素3種類(GAPDK、PGM,、PGI)、炭素分配クロスロードでの炭素分配に係る酵素2種類(FBPA、TPI)、酸化的ペントースリン酸回路(OPPC)への炭素供給に係る酵素1種類(G6PDH)について、菌接種後1、2、4日目の遺伝子発現について解析した。菌接種1日目と2日目において、炭素分配クロスロードでの炭素分配に係るFBPAとOPPCへの炭素供給に係るG6PDHの遺伝子発現が感受性、抵抗性の両系統で増大した。特に、FBPAの遺伝子発現は抵抗性系統が感受性系統の2倍と高くなった。しかし、菌接種後4日目においては調査した酵素遺伝子の発現はいずれも低下した。 調査した酵素に関係する代謝中間体の動態については、炭素分配クロスロードにおいてE4PとPEPへの分岐点に位置するGAPの含量が、3回のいずれの調査においても調査した他の代謝中間体より高い含量となった。次に高い含量を示したのは同じく炭素分配クロスロードのスクロースへの分岐点に位置するDHAPであった。また、炭素分配クロスロードの入口部に位置するFBPが3番目に高い含量であった。特に、病班が顕著となる4日目において抵抗性系統の菌接種区で、これらFBP、DHAP、GAP含量が同様の最も高い含量を示した。 以上のように、調査した系統系及びOPPC関連の酵素遺伝子の発現と関連する代謝中間体含量の動態は必ずしも一致したものではなかったが、炭素分配クロスロードの炭素分配に係るFBPAが菌接種の1日目という初期にその遺伝子発現が明らかに増大すること、及び炭素分配クロスロードを構成する4種類の代謝中間体の3種類の物質(FBP、DHAP、GAP)が高くなるという、想定した抵抗性系統での炭素分配クロスロードの活性化を示す結果が得られた。
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