2010 Fiscal Year Annual Research Report
閉花受粉性イネ突然変異体の開花期耐冷性・耐暑性の解析
Project/Area Number |
20580018
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
小池 説夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・やませ気象変動研究チーム, 専門員 (60355279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 高見 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・やませ気象変動研究チーム, 主任研究員 (00355281)
山口 知哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・やませ気象変動研究チーム, 主任研究員 (10355282)
吉田 均 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所・稲遺伝子技術チーム, 主任研究員 (30355565)
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Keywords | 閉花性イネ / 高温処理 / 冷温処理 / 受粉数 / 発芽花粉数 / 穎花内温度 |
Research Abstract |
目的:イネの花は開花中が最も高温感受性が高く、開花1時間後には急速に高温耐性が確保されること等から閉花受粉性イネは高温障害回避に有利であると予想された。そこで、閉花受粉性イネの開花期高温耐性と共に冷温耐性の解析を目的とした。 方法と成果の概要:閉花受粉性突然変異イネ(spw1-cls)は、幼穂形成期の生育温度が高いと閉花性となり、通常の生育温度(昼/夜;26℃/20℃)では開花性となることから、通常栽培による開花性イネと幼穂形成初期から人工光人工気象室において明期30℃一定時間を含む26℃/20℃で生育させて誘導させた閉花性イネを用いた。(ア)38℃3時間の高温処理後の稔実歩合は、開花性イネが44%のところ閉花性イネでは62%であり、18%高かった。38℃4時間処理後では、開花性イネが38%のところ閉花性イネでは55%であり、17%高かった。一方、12℃4日間の冷温処理後の稔実歩合は、開花性イネが33%のところ閉花性イネでは59%であり、26%高かった。12℃5日間処理後では、開花性イネが19%のところ閉花性イネでは50%であり、31%高かった。高温および冷温処理後の稔実歩合は、いずれも閉花性イネの方が高く、温度ストレスに耐性が高いという結果であった。(イ)閉花性イネが高温処理に耐性が高い理由を解析するために、柱頭上受粉数と発芽花粉数を測定した結果、38℃5時間の処理では閉花性イネの柱頭上受粉数は、高温処理後の受粉数が開花性イネに比べて非常に多く、高温処理をしない対照区とほぼ同程度であった。発芽花粉数は、高温処理により大幅に減少したものの、閉花性イネは開花性イネに比べてやや多かった。閉花性イネは高温ストレス下でも受粉に有利であることが示唆された。(ウ)穎花基部に開けた小孔から熱電対を挿入して、高温処理中の閉花性イネ穎花内温度を測定した結果、高温処理条件では穎花外気温が38.8℃の時に閉花性イネの穎花内新上部の温度は36.8℃であり、2℃低かった。穎花内温度が低いことが、高温ストレス回避に寄与してことが示唆された。
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