2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホウレンソウ低シュウ酸突然変異系統の生態反応特性に関する栽培学的研究
Project/Area Number |
20580028
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村上 賢治 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 講師 (40200266)
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Keywords | ホウレンソウ / シュウ酸 / 突然変異 / 栽培 / 抽苔 / 遺伝 / 分離比 / 劣性形質 |
Research Abstract |
ホウレンソウ低シュウ酸突然変異系統の成育特性、抽苔特性および低シュウ酸形質の遺伝について検討した。 1,材料および方法 低シュウ酸突然変異系統、元の'新日本'、新日本より選抜された雌性間性系統を供試した。 1)圃場栽培:セルトレイに播種して育苗し、普通化成(8-8-8)を200g/m^2施与した雨よけハウス内の畝に定植し、慣行法により栽培した。 経時的成育比較:市販培養土13Lを入れたプランターに5株ずつ植え、大塚A処方2分の1単位の液肥を施与し栽培し、10日ごとにサンプリングした。 2)抽苔試験:20℃一定で12、14、16時間日長とした人工気象器内で播種し栽培した。 3)低シュウ酸形質の遺伝:低シュウ酸系統、雌性間性系統、低シュウ酸系統×雌性聞性系統のF_1およびF_2を栽培し、地上部シュウ酸濃度を調査した。 2.結果および考察 低シュウ酸系統の地上部生体重は新日本の約2分の1で、葉長が短かったが、葉数には違いがなかった。低シュウ酸系統は、成育速度は遅かったものの約15日遅れで新日本と同等の地上部生体重となった。低シュウ酸系統の葉シュウ酸濃度は、定植80日目でも新日本や雌性間性系統の約1/5であった。低シュウ酸系統は、新日本より長日に敏感で、16時間日長では播種後平均30日目で抽台し、12時間日長でも播種から抽台まで平均55日であった。低シュウ酸形質の遺伝について調べた結果、F_1では雌性間性系統に近いシュウ酸濃度となった。F_2では、野生型株:低シュウ酸型株=155:44となり、3:1に近い分離比となった。これらの結果から、低シュウ酸形質には一個の劣性遺伝子の関与が示された。 以上の結果、現在得られている低シュウ酸系統は、成育速度が遅く抽苔しやすい特性を持っていた。しかし、低シュウ酸形質が単一の劣性遣伝子に支配されていたことから、低シュウ酸形質を他の有用形質を持つ品種への導入が可能と考えられた。
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