2009 Fiscal Year Annual Research Report
オオミノガヤドリバエの寄主利用戦略-なぜ高知でオオミノガが絶滅しないのか-
Project/Area Number |
20580055
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
荒川 良 Kochi University, 教育研究部・自然科学系, 教授 (10159494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 達哉 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (00432815)
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Keywords | 昆虫 / 生態学 / 生物的防除 / 天敵 / 外来種 / 寄生バエ / 寄生種 |
Research Abstract |
平成21年度は高知県高知市、南国市、室戸市、四万十市、香美市、高岡郡大豊町の各地でオオミノガのサンプリングを実施した。その結果、大豊町以外の地域では、数個体のオオミノガのミノしか採集できなかった。それらはオオミノガヤドリバエによる被寄生個体と、未寄生個体が混在した。健全個体について、実験圃場のクヌギに放飼し、次世代を得ることを試みたが、初夏の異常な少雨乾燥のためか、成虫が全く羽化することができなかった。大豊町では平成22年3月に263個体のミノを採集することができた。ミノ内部の状態を調べたところ、健全個体39.9%、寄生バエによる被寄生個体13.3%、寄生蜂による被寄生個体4.2%、死亡個体(冬期の低温が原因と思われる)41.1%、空のミノ1.5%という結果が得られた。採集地は標高200m程度であり、これまでの高知県の平地でのオオミノガにおける寄生バエや寄生蜂による寄生率と全く異なる結果が得られたことは非常に興味深い。特にオオミノガヤドリバエによる被寄生率が低いだけでなく、ミノ一個あたりの寄生数もほとんどが1-3個体と、高知県の平地でのこれまでの調査結果より張るかに低い値であった。オオミノガが加害していた植物はウバメガシ、ツバキという常緑広葉樹であり、これらのオオミノガヤドリバエの産卵場所としての適合性について更に研究を進める予定である。また、健全なオオミノガは現在飼育継続中で、十分な個体数があるので次世代を得ることは可能と思われ、オオミノガーオオミノガヤドリバエー高次寄生蜂の三者系を確立し、22年度に向けた実験を実施する準備は整っている。
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Research Products
(2 results)