2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580062
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 優 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60281101)
|
Keywords | 植物 / ホウ素 / 細胞壁 / ストレス応答 / 細胞死 |
Research Abstract |
植物の微量必須元素ホウ素(B)については世界各地で欠乏による作物生産の低下が問題となっているが、B欠乏障害の発生機作は明らかでない。そこでタバコ培養細胞BY-2株およびシロイヌナズナをモデル実験系として、B欠乏に対する植物の生理応答を解析した。 前年度までに、タバコ培養細胞BY-2の培地からホウ素を除去すると数分以内に細胞膜カルシウムチャネルが開口し、1時間以内にストレス応答遺伝子の発現が誘導されることを明らかにした。細胞がこのように迅速にB欠乏を感知するメカニズムを解明するには、シロイヌナズナ変異株を用いた分子遺伝学的解析が有効と考えられる。そこで今年度はシロイヌナズナを用いて初期応答を解析する実験系の構築を行った。実験には水耕栽培シロイヌナズナを用いた。B欠除処理後1時間の根について、死細胞を検出する色素エバンスブルーで染色したところ、伸長領域が特異的に染色された。また同じ部位で活性酸素分子種(ROS)の蓄積が観察された。これらの結果は、シロイヌナズナ根では伸長領域の細胞が特にB欠乏感受性が高く、短時間の欠乏でもROSを発生・蓄積し細胞死に至ることを示唆する。また欠除処理後1時間の根における遺伝子発現変化をRT-PCRおよびDNAマイクロアレイを用いて解析したところ、B欠乏タバコBY-2細胞と同様にストレス応答性遺伝子の発現誘導が確認された。以上のようにシロイヌナズナにおけるB欠乏初期応答を検出する実験系が構築できた。今後、各種の変異株についてこれらの応答を解析することにより、B欠乏シグナルの生成・伝達機構が明らかになると期待される。
|
Research Products
(5 results)