2009 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおけるセレンの新規生理機能とセレン調節因子の解析
Project/Area Number |
20580066
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
武田 徹 Kinki University, 農学部, 講師 (00247967)
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Keywords | シロイヌナズナ / セレン / 微量元素 / プロテオーム / NAD依存グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、高等植物におけるセレン(Se)の必須微量元素としての生化学的意義を解明することを最終目的に、研究実施計画に従って主に以下の点を明らかにした。 1.シロイヌナズナNAD依存グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(NAD-GAPDH)へのSe取り込みと活性化機構の解明 Se(1μMセレン酸ナトリウム)を含むMS培地およびSeを含まない通常のMS培地で17日間生育させたシロイヌナズナより、それぞれNAD-GAPDHを精製した。得られた精製酵素をトリプシンによりペプチド断片にまで消化し、それぞれの質量をMALDI-TOF/MSおよびQ-TOF/MSにより解析することで、Seの取り込み部位とその化学形態について検討した。その結果、基質のグリセルアルデヒド-3-リン酸が結合する触媒部位に相当する155番目のシステイン残基(155-Cys)を含むペプチド断片の質量のみが、Seにより活性化したNAD-GAPDHにおいて、126増加していることが判明した。このことより、Seの結合部位は触媒に関与する155-Cysであり、そこでセレノール基(-SeH)の形態で存在していることが強く示唆された。 2.解糖系酵素およびATP生成量に及ぼすNAD-GAPDHのSeによる活性化の影響 NAD-GAPDHがSeにより1.4±0.2倍活性化することに伴い、実生の新鮮重量が有意に増加することが明らかになっている。この点を明らかにするために、NAD-GAPDH活性が増加した植物体、すなわち1μMセレン酸ナトリウム存在下で生育させた植物体における他の解糖系酵素の活性およびATP生成量を測定した。その結果、ホスホグリセリン酸キナーゼおよびピルビン酸キナーゼなどの解糖系酵素の活性およびATP生成量は、Seにより有意な影響を受けていなかった。
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Research Products
(3 results)