2010 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおけるセレンの新規生理機能とセレン調節因子の解析
Project/Area Number |
20580066
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
武田 徹 近畿大学, 農学部, 講師 (00247967)
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Keywords | シロイヌナズナ / セレン / NAD依存グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナ / トリオースリン酸イソメラーゼ / カラミダイコン / 微量元素 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、高等植物におけるセレン(Se)の必須微量元素としての生化学的意義を解明することを最終目的に、研究実施計画に従って主に以下の点を明らかにした。 1. シロイヌナズナ解糖系酵素のSeによる調節機構 昨年度、1μMセレン酸ナトリウムを含む培地で生育したシロイヌナズナの細胞質型NAD依存グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(NAD-GAPDH)がセレン化により活性化されることを明らかにした。今回、硫黄トランスポーターのSULTRが高発現する低硫黄濃度条件下における、NAD-GAPDHおよびトリオースリン酸イソメラーゼ活性に及ぼすSeの影響について検討した。その結果、低硫黄濃度条件下におけるSeによるNAD-GAPDHの活性化(1.55±0.11倍)は、通常の硫黄条件下(1.31±0.08倍)と比べて有意に高くなっていた。この結果は、低硫黄濃度条件により、細胞内に取り込まれるSe量が増加し、それに伴い、多くのNAD-GAPDHタンパク質がセレン化されたことによるものと示唆する。一方、Seによるトリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)活性の増加は、低硫黄濃度条件下でも有意差は認められなかった。SeによるTPI活性の増加は、RT-PCRおよび特異抗体を用いたウエスタンブロッティングの結果より、翻訳時調節によることが明らかになった。 2. カラミダイコン実生の解糖系に及ぼすSeの影響 播種後10日目のSe処理したカラミダイコン実生に取り込まれたセレン量は、新鮮重量と正の相関を示した。Seの取り込みおよび有意な新鮮重量の増加が認められたカラミダイコン実生において、解糖系酵素(NAD-GAPDHおよびTPI)の有意な活性増加と、呼吸活性およびATP量の増加、および葉緑体型カルビン回路酵素の活性増加が認められた。
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Research Products
(3 results)