2010 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳後Nーミリストイル化反応を介する新規なアポトーシス制御機構の解析
Project/Area Number |
20580099
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
内海 俊彦 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20168727)
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Keywords | 翻訳後修飾 / N-ミリストイル化 / アポトーシス / 細胞情報伝達 |
Research Abstract |
今年度の本研究では、昨年度までの本研究から見いだされた翻訳後N-ミリストイル化される可能性のある候補タンパク質について、細胞のアポトーシス過程における翻訳後N-ミリストイル化の有無、また、それらの細胞内局在、生理的機能について検討を行った。その結果、カスパーゼ基質のデータベースであるCasbaseに登録された約300のカスパーゼ基質の中から見出された候補タンパク質では、CDC6,PKCεといった細胞情報伝達に重要な機能を果たすタンパク質が、thapsigargin等のアポトーシス刺激に伴いカスパーゼにより切断され、その切断断片に翻訳後N-ミリストイル化が生じる事が示された。またNCBIデータベースに収録されたヒト全タンパク質の配列データからカスパーゼ切断部位(DXXD等)の直後にN-ミリストイル化コンセンサスモチーフ(GXXXSX等)が存在する配列を検索することにより見出された候補タンパク質では、SHFM3,SUFUといった、形態形成に関与するタンパク質がエトポシド等のアポトーシス刺激に伴いカスパーゼ切断され、その切断断片が翻訳後N-ミリストイル化を生じることが示された。これらの翻訳後N-ミリストイル化されたカスパーゼ切断断片のうちtPKCεおよびtSUFUについてその細胞内局在を免疫染色法により検討した結果、これらはいずれも細胞質に局在することが示され、多くのN-ミリストイル化タンパク質が局在する原形質膜、オルガネラ膜とは異なることが明らかになった。これらの細胞質に局在する翻訳後N-ミリストイル化されたタンパク質の生理的機能について検討中である。
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