2010 Fiscal Year Annual Research Report
トリプトファン代謝鍵酵素の脳内免疫における役割と神経毒生成機構の解明
Project/Area Number |
20580122
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
江頭 祐嘉合 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (80213528)
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Keywords | トリプトファン / ナイアシン / キノリン酸 / 神経毒 / ミクログリア / 脳 |
Research Abstract |
トリプトファン代謝鍵酵素アミノカルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)やIndoleamine2,3-dioxygenase(IDO)は神経毒キノリン酸の生成に大きな影響を与える。本研究ではin vitroおよびin vivoにおけるこれらの酵素の発現に及ぼす食品成分の影響を検討した。In vitroの実験では脳神経マクロファージ細胞であるミクログリア細胞(マウス由来)を培養し、この培養液中にLPSを添加することにより細胞に炎症刺激を与えた。さらにその中に血液脳関門を通過できる食品成分を添加した時のトリプトファン代謝鍵酵素の発現を検討した。その結果、LPSを添加することによりキノリン酸の産生を増加させるIDOの発現が有意に上昇した。さらにLPSを添加した培養液に各種ポリフェノールを添加した時、ある種のポリフェノールはIDOの発現を有意に低下させた。しかしNOや炎症性サイトカインであるTNFα、IL-6などの産生は抑制しなかった。次に効果の認められた食品成分を餌に混ぜマウスに2週間投与し、脳内のトリプトファン代謝酵素の遺伝子発現を調べた。その結果食品成分の投与量に応じて脳のIDOの発現が有意に低下した。これはキノリン酸産生の減少につながる。以上の結果からある種の食品成分は脳や神経細胞のトリプトファン代謝系酵素に影響を与えることが示唆された。一方、ACMSDの5'上流のプロモーター領域にはグルココルチコイドレセプターなどいくつかの核内転写因子の結合配列が見出された。このことはACMSDの分子レベルでの変動機構を解明する上で重要な手掛かりとなる。
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Research Products
(4 results)