2009 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄島嶼域に生育する有用樹の開花フェノロジーと送受粉機構・結実機構に関する研究
Project/Area Number |
20580157
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
谷口 真吾 University of the Ryukyus, 農学部, 教授 (80444909)
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Keywords | 沖縄島嶼 / 開花結実 / 開花フェノロジー / 結実フェノロジー / 送粉・受粉機構 / 結実機構 / 亜熱帯性樹木 / 繁殖特性 |
Research Abstract |
沖縄島嶼或に生育する亜熱帯性有用樹4種の繁殖特性を解明する。 1. フクギ:剥皮処理を施すと開花回数か増加し、両性花の開花比率が増加した。着果(花)数は雄株は開花期内にすべて落下したが、雌株は開花期、幼果実落下期において急激な落下がみられた。 2. テリハボク:開花期は、年に2~3回であった。剥皮およひ摘葉処理を施すと、開花回数が増加した。さらに、剥皮処理によって、結果率が増加するモジュールも確認できた。着果(花)数は、開花期、幼果実落下期に急激に低下した。この原因として、葯に傷害のある不完全花の存在、訪花効率の悪いハエやアブをポリネータとして利用していることによるポリネーションの失敗、資源不足、ガの幼虫によるつぼみ、花の食害、クビワオオコウモリによる花や果実の食害、台風などの強風や潮風による物理的ダメージが確認できた。結果率は、0.0~50.0%(1回目の開花)、0.0~22.2%(2回目の開花)であった。 3. モモタマナ:花穂は2008年4月下旬、2009年3月上旬に出穂し、2008年は6.5か月間、2009年は4~6か月にわたり出穗、枯死、脱落を繰り返した。その後、花穗数は両年とも2009年2月下旬まで安定した。雄花の開花は、2008年は5月上旬~5月下旬は、6月下旬~10月上旬の2回、2009年は4月上旬~5月中旬、6月上旬~6月中旬、7月上旬~7月下旬、8月上旬~9月中旬の4回であった。さらに、両性花の開花は、2008年は5月上旬~5月下旬、6月中旬~10月上旬の2回、2009年は4月上旬~5月中旬、6月上旬~6月中旬、7月上旬~7月下旬、8月上旬~9月中旬の4回であった。 4. リュウキュウコクタン:雄花の開花期は、2008年は5月下旬~6月上旬、2009年は5月上旬~6月上旬であった。雌花の開花期は、2008年は5月中旬~6月上旬、2009年は5月上旬~6月中旬であった。摘葉およひ剥皮処理を施すと、結果率が増加するモジュールがみられた。着果(花)数は、開花期、幼果実落下期において急激な落下がみられた。果実は鳥散布種子であり、果皮が黄色のステージの果実に最も多くの種子を含み、昆虫の幼虫に食害された種子も少なく、発芽率は高かった。このため。種子を採取する際は、果実が黄色である時期が最も効率がよいと思われる。 本研究により得られた開花機構ならびに結実機構に関する知見は、沖縄島嶼域の森林保全あるいは再生、さらには新規造成のための地元産種子の採取による苗木生産、更新種子確保のための安定的な種子生産技術に寄与することが期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Book] 日本樹木誌12009
Author(s)
日本樹木誌編集委員会(編)・谷口真吾(分担執筆)
Total Pages
243-274
Publisher
日本林業調査会
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