2010 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄島嶼域に生育する有用樹の開花フェノロジーと送受粉機構・結実機構に関する研究
Project/Area Number |
20580157
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
谷口 真吾 琉球大学, 農学部, 教授 (80444909)
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Keywords | 沖縄島嶼 / 開花結実 / 開花フェノロジー / 結実フェノロジー / 送粉・受粉機構 / 結実機構 / 亜熱帯性樹木 / 繁殖特性 |
Research Abstract |
沖縄島唄域に生育する亜熱帯性有用樹4種の繁殖様式を形態学的、生理学的に研究し、開花フェノロジー、送受粉機構、結実機構などの繁殖特性を解明する。 1.フクギ:雄株、雌株の性表現は雄性、雌性の単性花であった。雄株、雌株の結実枝に全周の環状剥皮を施すと雌株では性表現に変化はみられなかったが、雄株は雄花と両性花の発現が認められた。さらに、剥皮した枝の着生葉を50%摘葉すると雄花の開花回数が増加したとともに、両性花の開花比率も増加した。雄株に着生した両性花は結実後、雌株の雌花と同様、果実は発達し、種子の発芽率も差が認められなかった。 2.テリハボク:開花期は年に2~3回であるが、枝の基部に環状剥皮および摘葉処理を施すと、開花回数が5~6回に増加した。さらに、剥皮処理により、結果量が増加するモジュールも確認できた。 3.モモタマナ:側枝上に開花する花穂は、枝基部からの距離によって、開花率あるいは結果率に差異が認められた。すなわち、側芽が伸長する仮軸分岐点あたりに輪生する穂状花序は幹に近い部位では、花穂に開花する両性花の割合が低く、枝の先端部に開花する花穂では両性花の割合が高くなり、果実の結果数も多くなる傾向であった。最も効率よく繁殖を行う花穂の開花部位は、側枝長先端から20~30%の領域であった。 4.リュウキュウコクタン:果実の成長は、5月中旬、雌花の開花時期に入ると幼果実の生産が確認された。 その後、シグモイドカーブ状に肥大成長が進み、9月下旬から11月上旬に成熟果実が落下した。雄株の雄花は、開花期間にその大多数が落下した。雌株では雌花から結実した幼果実、さらには果実成熟までの生残過程、ならびに果実の成長過程は、それぞれ4パターンに区分できた。5月中旬に処理した環状剥皮と摘葉を組み合わせた操作実験では、果実の成熟期(種子発芽力の発生を確認した7月下旬)以降の生残率(着果数/つぼみ数)は、剥皮処理と50%摘葉処理によって高まる傾向であった。結果率(黄色果実/開花数)は、剥皮区では0%摘葉区の結果率が最も高く、次いで50%摘葉区、0%摘葉区であった。 本研究によって得られた開花機構ならびに結実機構に関する知見は、沖縄島嶼域の森林保全あるいは再生、さらには新規造成に必要な種子生産に貢献し、地元産種子の採取による苗木生産、更新種子確保のための安定的な種子生産技術に寄与することが期待される。
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Research Products
(9 results)