2010 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ実生の湛水ストレス耐性と生態的地位との関係
Project/Area Number |
20580158
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渡辺 信 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (10396608)
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Keywords | 森林生態 / マングローブ / 湛水ストレス / 環境 / 遺伝子 |
Research Abstract |
湛水ストレスだけでなく、被陰による光量不足がマングローブ樹種毎の生態的地位決定とどのように関係するのかを明らかにすることを目標として、沖縄県西表島のマングローブ林を対象とした生態生理学的調査を進めた。西表島船浦湾周辺のオヒルギとヤエヤマヒルギが優先する林内に設置した調査プロットにおいて、野外に設置したプロットの毎木調査、コンパス測量、レベル測定、土壌含水率を調べ、複数箇所から土壌を採取し、国立環境研究所協力の下、化学成分の分析を進めた。また、湛水状況を長期モニタリングし、樹種毎の枝下高が顕著にことなる場所の光量子束密度を測定した。更に、台風に伴う強風や高波等の物理的衝撃に対する木材強度を把握するために、調査地の優先樹種であるオヒルギとヤエヤマヒルギをそれぞれ5本伐採し、部位毎の生重量、乾燥重量を測定した後、部位毎の試料をニュージーランドの国立森林研究所(SCION)においてX線解析、超音波解析、強度試験を進めている。その結果、壮年期のマングローブ林では一年を通じた湛水頻度が低く、湛水による土壌中の酸素不足よりも種間相互の被陰による光不足の方が、マングローブ樹種間の競争に及ぼす影響が大きいことが示唆された。ヤエヤマヒルギは被陰環境下では枝が枯れあがり、占有面積が小さくなるのに対し、オヒルギは被陰環境下でも枯れ上がることなく中層、下層でニッチを広げることが示された。この結果からマングローブ樹種ごとに、根における無酸素呼吸に必要なショ糖の供給に被陰条件下の葉の光合成がどのように関わっているのかを調べる必要性が示唆された。無気呼吸関連遺伝子群及びエチレン合成関連遺伝子群のサザンプロッテクング解析を行い、各々のコピー数を確認した。その結果からそれぞれの系のキーエンザイムをコードする遺伝子コピー数は最大で2個と考えられたことから、このプローブを用いた遺伝子発現解析を行い、総括作業を進めている。
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Research Products
(2 results)