2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580163
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
森野 真理 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (10397078)
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Keywords | 森林管理 / 森林資源 / 木工 / 伝統産業 / 第6次産業 / 私有林 |
Research Abstract |
本研究では、わが国の森林の6割を占める私有林に注目し、その管理の担い手像を示すことを目的とする。平成22年度は、地域社会の経済基盤として森林資源を利用するあらたな仕組みとして、林業の第6次産業化の可能性を模索し、そのなかで所有者をこえた管理のありかたを考察した。今回は、第6次産業化にあたって林産物の付加価値を高めるデザイン性に注目し、伝統的木工産地の地域特性について分析した。木工産地の地域特性については「全国伝統的工芸品総覧(2006)」に記載される木工品データを利用し(n=174)、都道府県別にみた全産業総事業所数あたりの伝統木工企業率を目的変数、森林・地域特性(11変数)を説明変数とした重回帰分析を行った。また、1970年代から2006年までの木工品目の経年変化を調べ、持続性の高い木工品目のある産地の森林特性を明らかにした。 伝統的木工産業は、企業数・品目数とも東日本に多く、職分類(彫物、挽物、指物、刳物、曲物など)については地域的な偏りがみられた。使用される素材も職分類により特徴がみられたが、木工企業率に対して寄与したのは、森林特性を示す変数でなく、「森林を保全する集落比」の高さであった。 1970年代から現在まで継続している木工品目と、品目の統合や廃止などで総覧への掲載が削除された品目について、所在都道府県の森林特性を比較した。その結果、継続品目のある産地は削除品目のある産地に比べ、林野率および天然林率が有意に低かったことから、継続品目のある産地は都市近郊に形成されていることが示唆された。 今回の分析で、森林の保全意識が高い地域で木工企業率が高かったことから、木工産地では地域として森林管理を行う基盤があるものと考えられる。今後、木工産地と素材供給地および消費地との関係を明らかにすることが課題である。
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Research Products
(2 results)