2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580164
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
安齋 寛 日本大学, 短期大学部・生物資源学科, 教授 (70168029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 隆太郎 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90213298)
砂入 道夫 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80196906)
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Keywords | カブトムシ / 幼虫 / 腸内細菌叢 / 成長段階 / T-RFLP法 / PCR-DGGE法 |
Research Abstract |
【目的】本年度は飼料を腐葉土とし、初齢幼虫から2齢、3齢幼虫と生長するに従い変化する腸内細菌叢をT-RFLP法で追跡するとともに、幼虫の腸内細菌叢を糞中の細菌叢と併せてT-RFLP法とPCR-DGGE法で比較解析した。 【材料および方法】腐葉土で飼育したカブトムシ幼虫について、1齢は腸管全体を、2齢幼虫は腸管を中腸・後腸の2分割に、3齢幼虫は腸管を10分割(中腸7分割・後腸3分割)にし、各部位から内容物と腸管壁に分離してDNAを抽出した。次に16SrDNAをT-RFLP用蛍光プライマーを用いてPCR増幅し、1000bpの増幅断片を精製後、再PCRを行ってから制限酵素BslIで消化した断片のプロファイルから細菌叢を推定した。 【結果と考察】 〈成長段階による変化〉各成長段階で幼虫を飼育した腐葉土から得られたT-RFLPのプロファイルはほぼ同一で、生育の場であり、かつ飼料である腐葉土の細菌叢はほぼ変化しないことが確認された。また、2齢と3齢幼虫を比較すると中腸、後腸それぞれでパターンが類似しており、2齢では既に3齢と同じ細菌叢が定着していると推定された。これに対し、1齢幼虫は2齢、3齢幼虫の後腸のパターンと類似していことから、腸内細菌叢が1齢の期間に大きく変化し、特異的ピークを示す細菌が定着すると推定された。 〈腸管部位による変化〉3齢幼虫の腸管を10分割した場合の細菌叢をT-RFLP法とPCR-DGGE法で比較した。T-RFLP法では中腸と後腸ではそのパターンが異なるが、腸管内容物では、中腸に共通の特異的ピーク(菌種不明の760OTU)とLactobacillales目が検出され、後腸では主にBacteroides, Clostridium, Bifidobacteriumの各属が検出された。腸管壁では、中腸において菌種不明の940 OTU(Clostridium subcluster X I Va、Enterobacteriales目)とLactobacillales目が検出され、後腸では腸管内容物と同様の菌種が検出された。この結果はPCR-DGGE法やクローニングの結果と一致しており、T-RFLP法が解析の有効な手段であることが確認された。また、腸管内の環境(酸素濃度・pH等)により、細菌のすみわけがされていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)