2008 Fiscal Year Annual Research Report
きのこ(ヒカゲシビレタケ)を活用した神経疾患改善剤の開発
Project/Area Number |
20580180
|
Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
江口 文陽 Takasaki University of Health and Welfare, 健康福祉学部, 教授 (60337467)
|
Keywords | きのこ / 担子菌類 / ヒカゲシビレタケ / シロシビン / シロシン / マジック・マッシュルーム / 神経疾患 / 抗うつ薬 |
Research Abstract |
ヒカゲシビレタケが特異的に生産するシロシビンやシロシンが脳内レセプターのどの領域に作用するかは明らかとなっているが、実際に脳内モノアミンの挙動がどのように変動するかは調べられていない。そこで本研究に関する初年度にあたる当年は、催幻覚性きのこであるヒカゲシビレタケの関与成分を特異的に産生する菌糸体培養の基礎を確立すると共に、安定的成分の維持を指標とした生産マニュアルの立案を目的として実施した。産生物を安定的に調製するための培養法の確立は今後の研究のために極めて重要であり、培養諸条件について詳細な検討を加え、シロシビンとシロシンを産生する培養条件の基本が確立された。 次に、脳内モノアミンとその代謝産物量が菌糸体や子実体の抽出物によってどのような挙動を示すかを検討し、神経性疾患への脳内作用点との感作物質の構造的特性を明らかにして臨床への応用の基盤を整備するためのファーストステージの解明に着手した。 すなわち産生物質の利用を考慮したデータの構築として、ヒカゲシビレタケ菌糸体および子実体の抽出物の投与によって、ドーパミン(DA)とその代謝物、ノルエフリン(NE)とその代謝物が大脳皮質中でどのように変化するかを動物を用いて精査した。その結果、ヒカゲシビレタケが産生するシロシビンやシロシンは経口投与後比較的速く血液脳関門を通過し、脳内モノアミンの挙動に変化をもたらすことが解明された。 さらに、動物の行動と抗強迫性を解明する玉覆隠し行動試験による解析を実施したところ、ヒカゲシビレタケの産生するシロシビンとシロシンは行動量の低下無く、強迫神経症に関する作用を改善する結果が得られた。次年度は、この成果をさらに精査するとともに依存性の有無等についての解析を行う予定で有り、そのための基礎となる成果が初年度によって得られたものと考える。。
|
Research Products
(2 results)