2009 Fiscal Year Annual Research Report
きのこ(ヒカゲシビレタケ)を活用した神経疾患改善剤の開発
Project/Area Number |
20580180
|
Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
江口 文陽 Takasaki University of Health and Welfare, 健康福祉学部, 教授 (60337467)
|
Keywords | 担子菌 / きのこ / ヒカゲシビレタケ / 中枢神経 / シロシン / シロシビン / 催幻覚性 / 脅迫神経症 |
Research Abstract |
ヒカゲシビレタケ(Psilocybe argentipes K. Yokoyama)は、催幻覚性物質としてシロシビンとシロシンを産生する。これらは血液脳関門を通過することが可能であり、脳内のセロトニン(5-hydroxytryptamine : 5-HT)_<1A>受容体、5-HT_<2A/2C>受容体へ選択的に亢進作用を呈することが明らかとなっている。シロシビンとシロシンによる催幻覚作用は、5-HT_<2A>受容体に対する亢進作用が大きく関与することが明らかとなっている。シロシビン群産生きのこが強迫性障害(Obsessive compulsive disorder : OCD)の治療に効果を示した報告はあり、きのこの持つ成分を利用した創薬的研究には期待が寄せられている。なぜならば、現在OCDの薬物治療には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬が第一選択薬として用いられているが、半数近くの患者において満足な治療結果は得られていないからである。したがってヒカゲシビレタケが脳内モノアミンの挙動へ与える影響の解明00CDの動物モデルであるげっ歯類の玉覆い隠し行動へ与える影響と各種受容体亢進作用が与える影響についての検討した。 ヒカゲシビレタケの抗OCD能を測定したところ、0.1g-1g/kgの投与量において自発運動量へ大きな影響を与えずにマウスのガラス玉覆い隠し行動を有意に抑制した。その効果は、医薬品のFluvoxamineと同等以上であった。また、5-HT_<1A>、5-HT_<2A/2C>受容体拮抗剤は、それぞれヒカゲシビレタケの効果を抑制した。ヒカゲシビレタケの玉覆い隠し行動抑制作用は、5-HT_<1A>、5-HT_<2A/2C>受容体亢進の相互作用によることが明らかとなった。ヒカゲシビレタケのメタノール抽出物は、投与後一時的にマウスとラットの脳内モノアミン含有量を減少させる傾向を示した。また、ヒカゲシビレタケは、脳の多くの部位で5-HIAA含有量を低下させセロトニン代謝回転の抑制を見せたが、各種受容体拮抗剤は、それぞれ脳内の各部位において5-HTの代謝回転阻害を抑制した。なお、ヒカゲシビレタケの玉覆い隠し行動抑制効果は減少が確認されており、5-HT代謝回転の低下が動物試験におけるヒカゲシビレタケの抗強迫性障害効果へ寄与していることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)