2010 Fiscal Year Annual Research Report
資源量減少が著しいカワヤツメの生態学的・遺伝学的研究
Project/Area Number |
20580191
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 晃 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30111165)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕治 富山大学, 大学院・理工学研究院, 准教授 (30332654)
|
Keywords | カワヤツメ / 遡河回遊性生活史 / 資源量減少 / ハビタット利用 / 産卵場選択 / 遺伝的多様性 / 環境保全型資源管理施策 |
Research Abstract |
カワヤツメの河川内個体群の減少要因とその結果を明らかにする目的で、北海道石狩川水系において下記の野外生態調査を実施し、以下の貴重な成果を得た。 (1)カワヤツメの産卵場選択に重要な環境要因を明らかにするため、北海道石狩川の一支流において調査を行った。調査は6月に行い、産卵床(個数/在不在)と物理環境(流速,水深)を測定し、同時に高精度GPSを用いて産卵床の空間位置を記録した。産卵床と環境要因の関係を調べるため、解析には一般化加法モデル(GAM)を用いた。その結果、産卵床の空間分布は一様ではなく集中分布する傾向を示した。また産卵場選択に影響する要因として、水深35-50cm前後が統計的に有意に重要であったが、流速は年度ごとに異なることが示された。これらのことから、カワヤツメが水深35-50cm前後に産卵するのは,河川の水位低下による卵の斃死を防ぐためと考えられた。 (2)石狩川における好適な産卵場は本川上流部の支流に多く見出された。該当水域には多くの河川構造物が設置されているため,上下流部における流路の単調化や利水による水位の減少がカワヤツメの好適な産卵環境を減少・劣化させていると考えられた。 (3)以上の結果を基に、カワヤツメ個体群の繁殖環境の改善に関する施策についての考察を行った。
|