2009 Fiscal Year Annual Research Report
養殖魚のポジティブリスト制対応型農薬残留リスク監視技法の開発
Project/Area Number |
20580200
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
舞田 正志 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学技術研究科, 教授 (60238839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 孝之 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (50361811)
二見 邦彦 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (00513459)
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Keywords | マラチオン / ティラピア / 残留リスク / MDR1 / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
わが国では、平成18年5月にポジティプリスト制が導入されて以降、生産者の意図しない農薬の残留リスクをどの様にモニタリングするかが重要な課題となっている。そこで本研究では、魚類の農薬曝露に対する生物学的反応を利用した、安価で簡便な農薬類曝露履歴監視システムの構築を目指し、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)において農薬曝露の有力なバイオマーカーになり得ると判断されたMDR1、PXR遺伝子に着目し、その有用性を養殖対象魚種であるティラピア(Oreochromis niloticus)を用いて検証した。 15±5gの供試魚に1.0ppmの有機リン系農薬マラチオンを3時間、24時間曝露し、経時的に肝臓と筋肉をサンプリングし、曝露時間の違いによるMDR1、PXRの発現量の変動パターン解析をリアルタイムPCR法により行った。その結果、3時間曝露区に比べ24時間曝露区において、顕著な発現増加傾向が確認され、体内濃度依存的に発現量が変動している可能性が示唆された。そこで、農薬の体内濃度と遺伝子発現量の変動パターンの相関を検討するため、55±5gの供試魚にマラチオン20.0ppm相当を飼料に添加して16日間経口投与し、1、2、4、8、16日後にサンプリングし、ガスクロマトグラフ法による筋肉中の農薬の検出と、リアルタイムPCR法による肝臓・筋肉におけるMDR1、PXR遺伝子の発現解析を試みた。その結果、マラチオンはいずれも検出限界以下(0.01ppm)であった。マラチオンの魚類における消失は早く、残留は検出されなかったが、MDR1については、筋肉において4日目に顕著な発現増加傾向を示した。MDR1遺伝子の発現量増加は、体内への残留量との相関は示さないものの,農薬への暴露履歴を反映する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)