2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580207
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池田 譲 University of the Ryukyus, 理学部, 教授 (30342744)
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Keywords | イカ類 / 社会構造 / ネットワーク / 脳・神経 / 行動 |
Research Abstract |
イカ類は巨大脳を有し高次脳機能を示す。本研究では、イカ類の高次脳機能が社会性と深く連関すると考え、群れとして表出される同種集団の社会構造を、複雑ネットワーク分析を適用して、イカ類の個性や脳神経の発達にも注目しつつ読み解くことを目的とした。 上記目的達成のために、平成21年度は「ネットワークの発達過程」を熱帯性頭足類のうち主にアオリイカから探ることを目標として以下の結果を得た。 初めに、アオリイカを孵化直後から4週齢まで飼育し、群れの発達過程、および摂餌場面における順位制を観察した。その結果、生後発生的に群れが作られる様子、および摂餌場面において体サイズに関係ない順位が作られる様子が確認された。 次に、4週齢のアオリイカについて群れ内の個体関係を複雑ネットワークにより分析した。その結果、複数個体と関係性をもつハブ個体が存在すること、反対に他個体との関係性が希薄な周辺個体が存在すること、ハブ個体は順位の高い個体であること、二個体間の関係をみるとオスからメスへの関心の高さが見られることなどが明らかとなった。 さらに、孵化後のアオリイカの脳発達を組織学的に調べた。その結果、群れ内での個体認識に関わると思われる垂直葉複合体に、孵化後の顕著な発達が認められた。これは、群れ形成と同期していたことから、群れ内のネットワーク形成は脳発達と密接に関係した過程であることが示唆された。また、群れから隔離した個体では、脳および体成長の発達がともに遅滞する様子が観察されたことから、幼少期からの同種他個体と一定空間で過ごす中でネットワークが形成されて行くことが示唆された。
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Research Products
(8 results)