2010 Fiscal Year Annual Research Report
フードシステムの技術革新と垂直的管理に関するサプライチェーンマネジメント分析
Project/Area Number |
20580232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 康博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (50202213)
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Keywords | フードシステム / サプライチェーンマネジメント / 契約栽培 / インセンティブ / 表明選好法 / 有機栽培 / 特別栽培 / 食の安全・安心 |
Research Abstract |
消費者の食の安全・安心に対する関心の高まりは減農薬・原価額肥料の特別栽培や有機栽培の農産物の需要を増やしている。その供給はチェーンストア型の小売業を通じて行われるために、生産現場は相当なボリュームの生産を行いながら、適正な農薬管理、高水準の肥培管理、厳密な分別管理をしなければならない。そしてそれらは事前に計画をたてながらも、柔軟な直前の計画変更への対応が求められる。産地はこれらの生産体系に合わせて地域の生産者をコーディネートしなければならない。 サプライチェーンマネジメントが効果的に運営できるかどうかは、最川上の位置にある農家群の意識と活動が左右する。そこで和歌山と長崎の生協産直産地において、表明選好法によるアンケート調査を実施して、生産者の減農薬栽培や有機栽培への参加インセンティブの構造を検討した。結果は以下の通りである。 和歌山では、K農協のミカン生産部会を対象に調査した。高齢農家が中心の部会であり、減農薬や有機栽培への取り組みを促すことは難しい地域である。仮想的に設定した価格水準、価格変動、立地条件、労働条件などの要因を組み込んだ栽培選択行動の分析を行った。その結果、リスク回避的態度は行動を左右していることが確認され、参加インセンティブを与えるためには、安定した契約価格の提示が有効であることが明らかになった。 長崎では、N生産組合を対象に調査した。営農意欲の高い比較的若い農家が参加している。組合加入に際しては事前のルールを明示してその遵守の誓約を求めていることから同質的な集団を形成する工夫が行われている。組合への参加の意義を表面選好法に基づく意識調査から検討したところ、有利な契約価格、取引先の開拓などの面で有利な組織であることが参加インセンティブとなっていて、農家もサプライチェーン全体を見通した生産行動を組み立てていることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)