2010 Fiscal Year Annual Research Report
食文化とそれを支える経済システムの現状と課題-国内外のハモ生産・流通・消費事例-
Project/Area Number |
20580254
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
津國 実 近畿大学, 農学部, 准教授 (40269783)
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Keywords | 水産物 / (魚)食文化 / ハモ需給 / 産地比較 / 消費地比較 |
Research Abstract |
ハモは西日本の広域で生産されているが、その需要は関西の都市部に限定され、輸入物の増大も重なり、供給過剰による国産の価格低迷が続いている。そこで、今年度は西日本広域のハモ産地調査と全ての面で大消費地である名古屋・東京の卸売市場を調査し、需要の地域的階層的拡大と資源の有効活用を図る方策を明らかにしようと試みた。 そのために、8月末から9月初旬にかけてハモ産地である小松島市、八幡浜市、光市の漁協などでハモの生産・出荷状況などを調査した。各地の調査で判明した結果は、次の通りである。小松島市の漁協では、地場企業と共同でハモの商品開発に着手したばかりで、新規需要開拓に向け今後様々な戦略的取組を実施するという。八幡浜市の漁協では、消費地が遠いため地元産地卸売市場の仲買人へ出荷するのみで、取引価格を無条件で受け入れていた。光市の漁協では、過去に市場調査に基づいた漁協共同出荷で販売成果をあげていたが、今日では生産者の高齢化が極度に進み後継者不足に陥っている。 また、9月中旬に名古屋市と東京都の中央卸売市場で卸売業者に対しハモの需要調査を行った。その結果から判明した点は、次の通りである。名古屋市場では、ハモの入荷先や入荷経路が関西と異なり、韓国産の取扱量が非常に少なく、中国産ハモの取扱量が近年増大してきている。東京の築地市場では、ハモの需要そのものが少なく、ハモの取扱状態・商品形態と国産・中国産・韓国産の評価が関西とは全く異なっている。 以上の結果、名古屋・東京でのハモ需要拡大の余地は非常に大きいが、産地維持を考えると国内ハモ産地が加工調理を含め東日本の消費ニーズに合った商品開発と流通経路を含めた出荷販売戦略を府県単位で取り組むことが急務であるといえる。
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